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ハンニバル・ライジング [映画感想 は行]

ハンニバル・ライジング 上巻 (1)

ハンニバル・ライジング 上巻 (1)

  • 作者: トマス・ハリス
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2007/03
  • メディア: 文庫

ハンニバル・ライジング 下巻 (3)

ハンニバル・ライジング 下巻 (3)

  • 作者: トマス・ハリス
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2007/03
  • メディア: 文庫


映画タイトル:ハンニバル・ライジング
初公開年月 :2007/04/21
監督:ピーター・ウェーバー
脚本:トマス・ハリス
出演:ギャスパー・ウリエル コン・リー 他
   
■2007.4.22(日) 本日の一言■

普段はおだやかに笑みさえ浮かべ
時に生き人に獰猛に襲い掛かり、
そのまま相手を食らう男。

怖いよぉぉおおお!コンナヤツハ、ゴメンダ・・ハヤク ニゲナケレバ(><)
しかし・・残忍だけれど観たい・・怖いけれど観たい・・
なぜレクター博士は人喰いになってしまったのか・・
知りたい・・(  ̄ー ̄) ドレドレ・・・
というわけで、あまり前評判がよくないことは百も承知で観にいって参りました。
『ハンニバル・ライジング』。
映画ファンには、おなじみのレクター博士、若き日々の物語が本日のお題だ。

---あらすじは映画ON LINE より---

1944年のリトアニア。戦禍で両親を亡くしたハンニバル少年は、幼い妹ミーシャと
2人で山小屋に隠れ住んでいた。ある日、残忍な逃亡兵グループが山小屋を乗っ取り、
か弱いミーシャは彼らに殺されてしまう。
その後、心を閉ざしたまま孤児院で成長したハンニバル(ギャスパー・ウリエル)は、
やがて脱走し唯一の親類を求めてパリの叔父のもとへと向かう。しかし、すでに叔父は
この世を去り、未亡人の日本人女性レディ・ムラサキ(コン・リー)が、
ハンニバルを温かく迎える。ハンニバルは彼女のもとで高度な教育を受けると共に、
次第に心の奥底に封印されていた復讐の情念を目覚めさせていくのだった。

次に感想である。
★以降、ネタバレあり★

映画は、幼少のハンニバルと妹のミーシャ、そして両親がソ連とナチ政府の
空襲を逃れ人里離れた小屋へと身を寄せるシーンからスタートする。
子供であるハンニバルは未来に、人食いになるとは見えない、
愛らしく、やさしい妹思いの兄である。しかし戦火は彼の両親をあっという間に奪い、
非弱な兄妹は逃亡兵たちに囚われ、彼らの飢えから妹は殺され、おまけに食われて
しまう。それは、スクリーン上でもアッという間の出来事だ。(部屋の暗さ、
飢えるにしたがって残忍さが倍増してゆくところは、なかなかの出来である。)
やがてハンニバルは、忌まわしい妹への記憶を毎夜の夢に蘇らせ、うなされながらも、
それが確定的な何であるか掴めぬまま、なかなかの美形の青年へと変貌をとげ、
(しかし、その顔は面長すぎて、レクター博士、昔は顔が長かったのね(^^;;)
と私は妙な突っ込みをいれたくなった(笑))そして長らく己を虐待する監視員に
一撃を食らわせて、(この一撃の方法が未来にあるレクター博士らしい方法で見所だ。)
孤児院を脱走するのだった。
そんな彼が頼りにしたのは、両親の叔父夫婦なのだが、叔父はすでに他界をし、
ハンニバルを迎えたのはその妻である日本人のミセス・ムラサキで(このネーミングも、
日本人からみるとどうなんでしょ?あり得ない名前なんじゃない?と思うのだが・・)
彼女は、どうやら日本の武士の血を受け継ぎ、遠いパリにまで祖先の鎧を
天井からは小さな数々の能面をぶらげた妖しげぇえな薄暗い部屋にもちこみ、
それらを飾り武士の命である刀研ぎにも余念がないらしい。(^^;;)
こうした部屋を見るにつけ、この東洋に対する感性は、明らかに外人のモノで
物語に設定されている知的な日本人女性のモノではないことは、火をみるより
明らかだった。日本人はこんなに、ゴテゴテと天井から能面をぶらさげたりしない。
この辺りから、私はだーんだんと冷めた目で映画をみはじめたように思う。
確かにミセス・ムラサキとハンニバルが武士について語るシーンはあるし、
ミセス・ムラサキからハンニバルへの剣道の手ほどきシーンもあるのだが、
それが、後々、ハンニバルの精神に大きく影響していくモノは感じられなかった。
ハンニバルが、東洋の歴史から得たものは、悪に対しては成敗が可能であり、
成敗された悪はさらし首にすることが許される。使う武器は東洋の刀ということ
なのだろう。うぅうぅぅ・・なんと中途半端なハンニバルと東洋の関わりだ。
東洋人である私とすれば、ミセス・ムラサキ!あんたが知的な日本の女であるなら、
もっと色々と、彼に語るべき東洋の世界があったのではないか!
あんた、なーんにもハンニバルに教えてないよぉ!私が教えたほうが、
まだ東洋について語れるよ!ちょっと止めてよ!OH No!(>〇<)である。
案の定、東洋について誤った認識をもったハンニバルは、ミセス・ムラサキを
侮蔑した市場のオヤジを許せず、日本刀で殺害。首を刎ねて鎧の前に捧げるなどの
テイタラクぶりを見せるのだ。( ̄_ ̄|||) <ホラ・・ダカラ、イワンコッチャナイ・・
長年にわたり面倒をみてくれた女性が侮蔑されるのは、西洋の男なればこそ
我慢がきかぬというのも、わからなくはない。だが、こうしたシーンよりも
語らねばならぬことは山ほどあったはずなのだ。
ハンニバルはどうして医師を志ざそうとしたのか・・
いつミセス・ムラサキに愛を感じたのか・・、
そして妹を殺害し食べた逃亡兵たちへの復讐を果たした後、何故、ハンニバルは憎む
彼らの肉を食べずにはいられなかったのか・・
ついにハンニバルの誕生の謎が解き明かされる・・と、
予告編で確か観客にいったじゃないかぁあああ!(><)<タノムヨ オイ!
この映画のストーリーだけでは、ハンニバルが殺された妹へのために、
犯人をみつけだし復讐劇を果たしただけに過ぎない。
確かに、ハンニバルが自分を苦しめる妹の死について、真実を突き止めようと、
自ら自白剤を打ち、逃亡兵たちの顔や証拠をつきとめるくだりは、医者ならではの
発想で目新しかった。蘇った記憶をたよりに、ソ連(旧リトアニア)へ向かい、
ハンニバルが妹と共に拉致された小屋へと再び帰り、そこで逃亡兵たちの証拠となる
ネームプレートを発見するシーン、そこへ現れる逃亡兵の1人と格闘、残りの仲間の
現在の居場所を問い詰める方法は、まさしくレクター博士らしいといってもいいだろう。
しかし1人、また1人と妹を殺した逃亡兵たちを追い詰め、殺害するにしたがって、
観客である私は、その殺人に対する衝撃度を失っていった。
医学部の遺体安置所で水攻めの末に溺死させられる逃亡兵のシーンは、息を飲んだけれど
それ以降は、感覚が麻痺してしまったのか、心臓もドキドキせず、私の緊張を示す
指先の冷えもまったく皆無となってしまったのだ。まぁ唯一の衝撃は、ハンニバル自身も、
妹を亡くした後、逃亡兵たちから、ふるまわれた肉のスープを飲みそれが、妹の肉だったという
ことぐらいだろうか。( ̄◇ ̄;)<コレハ・・ケッコウ、オドロキノジジツカモ・・
けれども、その言葉を瀕死の逃亡兵から聞いたあと、ハンニバルが逃亡兵の遺体に食らいつき
肉を食らう気持ちは、どうにも私には理解が難しいし、ハンニバルの心の揺れも映画から
感じとることは困難だろう。
また、その場に人質として居合わせるミセス・ムラサキもハンニバルの愛を感じつつ、
けっこう冷めていたりする。愛を告白するハンニバルに「あなたは、その愛に値しない」
なーんて、格好の良いセリフだけは言っちゃったりするのである。
そーんなこと言う権限はミセス・ムラサキには、ないんじゃないのぉ?きちんと東洋を
ハンニバルへ伝えなかった非があるよねぇ(--)と、本来なら脚本家に言うべきこと
だが・・矢面にたつ彼女にむかって思わず私は呟いてしまう。
こうしてハンニバルは妹の復讐を果たし、船を爆発させ、その姿を見た者はなかった。

そして私はこのレクター博士の誕生劇という名をかりた復讐劇に、心の奥からこう叫ぶ!
「1800円返せぇええええ・・・」( ̄曲 ̄) ウゥウウウウウウ

次に俳優の感想である。

主役のハンニバル・レクターを演じた、ギャスパー・ウリエル。
まず彼を見ていつも思うことは、顔の長い美形俳優ということだ。
そしてコリー犬を思い起こす。(^^;;)
『スターウォーズ』Ⅱ、Ⅲのアナキンを演じていたヘイデン・クリステンセン
と似た目力を感じた。上目遣いで殺意を伝える、という表情や演技はいいのだが、
愛を伝えたり、失望したりといったところが、この脚本上にあまりなかった故に
彼の目の演技のよさが、生かしきれていないことが残念である。
この作品で名前は知られるようになるだろうから、次回作に期待したいところである。

ハンニバルに愛されるミス・ムラサキには、『SAYURI』に出演していた
コン・リー。素晴らしい!と絶賛する演技ではないけれども、かといって、凄まじく
酷い演技でもない。ようは可もなく不可もない演技だった。
気品はあるけれども知性を感じさせる部分が、見れなかったのは残念だ。
こちらも次回作、観る機会があれば期待をかけたい。

では最後に映画の全体的な感想。

うーん・・
この映画は、私の目からいうと、ハンニバル・レクターの誕生の物語ではなく、
殺された妹のための復讐の物語といったほうが、しっくりくると思う。
脚本は『羊たちの沈黙』を書いた、トマス・ハリスだけれども、作者自身、
いま1つ、レクターという人物の過去に近づききれてなかったのかもしれない。
妹をなくした思い、辛い過去については描かれているのだが、ハンニバルの奥に潜む
残忍性の理由が、掴みきれていないような気がするのだ。
それならば、へたにシリーズ化などしないほうが良かったのではないか・・と
思うほど、物語に深みがなく、この1作が初のレクター博士の登場映画だったと
したならば、間違いなく彼は、この世から消え去るキャラだろう。
『羊たちの沈黙』、『レッド・ドラゴン』でアンソニー・ポプキンスの演じた
凄まじいばかりのレクター博士が観客の頭にあって、はじめて鑑賞に堪えうる映画だと
私は思う。
東洋の女、鎧、刀、剣道、など盛り込んで、少しでも物語を神秘に見せようと
努力している節もあるのだが、どれも日本人からは中途半端に見えて苦笑せざる得ない。
原作者は、もう少し東洋について勉強したほうがいいのではなかろうか。

あぁ・・DVDになるまで待てばよかったのだなぁ・・(--#)
それでも、ハンニバル・レクター博士が、かってもっていたであろう、
美貌は堪能できる作品だ。(苦しいフォロー)(--)<ハァ・・・深い溜息。

あまりお薦めはしない。本当に久しぶりに凄まじくはずした映画であった。(><)


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こんばんは。残虐性としてのレクターが成り立ったのはなんとなくわかりましたけど、犯罪心理を深く読むレクター博士の姿はこの若き日からは見えませんでしたね。そもそも若き日を描く必要があったかが疑問です。こういったことは明かさないでミステリアスにした方が、彼の恐さが際立って良い様な気がしますけど・・・。
by (2007-04-26 00:42) 

カウンタック

息の長い、作品群ですね。アンソニーホプキンスの印象があまりにも濃い。全く別物の感です。
by カウンタック (2007-04-26 21:35) 

まなてぃ

>FuHaさんNiceありがとうございました。
by まなてぃ (2007-04-27 01:15) 

まなてぃ

>noricさんNiceありがとうございました。(^^)
by まなてぃ (2007-04-27 01:16) 

まなてぃ

>katoyasuさんNice&コメントありがとうございます。(^^)
本当に残虐性のレクター博士のみが描かれた作品でしたね。
私はもっと彼の内面性が、深く描かれており、日本の宗教性などが
絡むのかと思っていたのですが、本当に酷い日本とのかかわりに
がっかり。これでレクター博士ものとは、さよならできるような気が
します。本当にトホホな映画でした。(TT)
by まなてぃ (2007-04-27 01:18) 

まなてぃ

>カウンタックさんNice&コメントありがとうございます。(^^)
本当に今までのレクター博士とは似ても似つかぬ
顔の長いレクター博士でした。
うーん・・別物としてみるのが良いですね。
しかし、レクターから離れて、この映画にヒットはなかったでしょうね。
by まなてぃ (2007-04-27 01:20) 

ここあ

そこまで批判する映画じゃない
普通におもしろいから
by ここあ (2007-05-05 10:48) 

killer

少しグロテスクな感じが漂う映画でした;;
それでも観なければよかったとは思いませんでした^^
by killer (2007-05-05 10:50) 

まなてぃ

>ここあさん、コメントどうもありがとう。
映画の感じ方はそれぞれですからねぇ。(^^;;)

この映画をおもしろく(^^)v感じる人もいるし
この映画に、金返せぇええ(><)となる人もいる。

だから世の中おもしろい。(^-^)
by まなてぃ (2007-05-05 13:37) 

まなてぃ

>killerさん、コメントどうもありがとう。

日本の甲冑に刀、それに生首、
妖しげなオレンジとセピア色の照明が印象的でしたね。

私はちょっと自分が期待していた『ハンニバル・ライジング』と
違ったので、「チケット代返せぇえ!」になりましたが、
この映画に「良かったな・・楽しめたな」とkillerさんが思うので
あれば、それはそれで、良いのです。映画は楽しめたモノ勝ちです。
今回、私は楽しめなかったんですよ。残念ながらね。(^^)
by まなてぃ (2007-05-05 14:12) 

辻

紹介


日本語の起源

言霊百神

kototama 100 deities
by (2014-10-25 19:16) 

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