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東京タワー オカンとボクと、時々、オトン  [映画感想 た行]

映画「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」オリジナルサウンドトラック

映画「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」オリジナルサウンドトラック

  • アーティスト: サントラ, 上田禎
  • 出版社/メーカー: ユニバーサルJ
  • 発売日: 2007/04/11
  • メディア: CD



映画タイトル:東京タワー オカンとボクと、時々、オトン 
初公開年月 :2007/04/14
監督:松岡錠司
脚本:松尾スズキ
出演:オダギリジョー 樹木希林 内田也哉子 他
   
■2007.4.18(水) 本日の一言■

少々クタバリ気味で、ブログのアップが遅れた。
本日の映画感想は『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』。
小説が売れ、テレビドラマとなり、満を持して映画化されたモノだ。
しかし、私は小説は読んでいないし・・(^^;;)
テレビドラマも見ておらず・・(^^;;;;;;)
予告編の映像情報以外、マッサラ状態でスクリーンに向かうことになった。

---あらすじは映画ON LINE より---

1960年代、オトン(小林薫)に愛想を尽かしたオカン(若い時代:内田也哉子
年齢を経てからは樹木希林)は幼いボクを連れ、小倉から筑豊の実家に戻ると、
妹の小料理屋を手伝いながら女手一つでボク(オダギリジョー)を育てた。
1970年代、15歳となったボクは大分の美術高校に入学、オカンを小さな町に残し
下宿生活を始めた。1980年代、ボクは美大生となり憧れの東京にやって来るが、
仕送りしてくれるオカンに申し訳ないと思いながらも学校へもろくに行かず
自堕落な日々を送ってしまう。留年の末どうにか卒業したものの、
その後も相変わらずフラフラした生活を送るボクだったが…。

次に感想である。
★以降、ネタバレあり★

私ごとではあるのだが、私の家は完全に女が支配するところで、父以外に男という
モノがいない。母がおり、私は長女で、下には妹がいる、飼っているペットですら
雌猫の完全女系家族なのである。
おまけに私達姉妹はどちらも女子高に通っていたので、男というモノの本質が
いったいどういうモノなのか・・少なくとも高校の3年間はナゾのベールの向こうに
隠されていた。父は父であり、娘から見ると男ではない。父も最近でこそ、高齢から
みっともないところも、数々、あからさまにみせてくれるが(--;;)
少なくとも60代までは、娘たちにみっともないところを見せまいと見栄を張り
頑張って、生きてきた人だと思う。ただ母だけは、まれに父へ彼女の堪忍袋の緒が
切れたときに雷を落としていた。「これだから!男っていうモノは☆жкЯ〇×
▽■%$#!(私の聴力で判別不明)」etc・・・・・・・( ̄∇ ̄;) ハッハッハッ

男の本質や片鱗に触れることになったのは、むしろ大人になってからである。
会社にいる男との仕事関係やら、友情関係もあるし、まぁ人生、生きていれば
色恋沙汰も経験する。しかし未だ、ただ1つ、どーしても経験できない男との
関係が私にはある。
それが、この映画のテーマになっている母と息子というモノなのだ。
こればかりは1人の努力だけでは作れないし、どうにもならない。(;´▽`A``

この映画の時間軸は昭和から平成。
主人公ボクの年齢設定は、私より少々上であるが、リンクしている部分もあり、
映画にある情景は、私の記憶の奥に残っていて、あの時代と家の匂いについては、
手に取るように感じることができた。
あぁ、あの大きな扇風機に電源を入れて、それに向かって「あぁああああああ!」
と叫んだっけ。懐かしい!(^〇^)
あぁ、あの家具式ステレオ、おじさんが持っていた。確かシート式のレコードを
かけて聞かせてもらったことがある。家の形が懐かしい!引き戸だよ!etc・・・・
しかし、私はこういった感慨を確かに持ったのだが、映画に根をおろして
登場人物たちへ本当の共感をもって観ているのとは少し違ったような感じだ。
観ている間、私は映画の中を遠くから浮遊しているようだった。
何故はっきりとした共感部分をもてなかったのか・・と言われれば、
理由は簡単なことだと思う。それは、私に息子がいないからなのだ。
『東京タワー』に出てくる男たち、オトンとボクは女であるオカンに対し、
甘えきったしょうもない男たちである。オカンは早々に酒乱で生活費も、ろくろく
いれない(いれていないであろう)旦那であるオトンに対して、見切りをつけて
家を出るが、息子であるボクの手は握って共に生きてゆくという設定で、
映画は進行してゆく。そして、オカンは定職につけず1つのことを
やり遂げられない亭主について、息子に一切、恨みがましいことを語らず、
ここがまた、母と娘という立場で生きてきた自分には経験のないことなので、
共感を難しくするのだが、とにかくオカンはいじましく息子と自分の生活を明るく
(この明るさがこの映画を暗くさせないので重要だろう)支えてゆくのだ。
息子であるボクは、その母に守られ青年になって家を出るが、どうにも煮え切らない
日々を続けてゆく。物語の大半はボクとオトンの、しょうもない生活ぶりが満載だ。
それはボクが、大人となり仕事にある程度の成功を収め、オカンを東京へと引き取り
親孝行をしているシーンにすら、微妙に影を見せているように思う。
ボクは友人たちと共に母を囲んでの食卓にはいることができる。
ボクはオカンに彼女(松たかこ)と付き合っていることは報告もできる。しかし、
彼女と別れた話をする勇気がもてず、オカンがアレコレと気をモミ、息子に話かけても
事務的なこたえしか返せず、そしてオカンが病に倒れ闘病に入ったときは、
その苦痛の姿と凄まじさに目を閉じ泣き出し、その場に背を向けてしまうことさえする。
このシーンで、私の心の内はギリギリとジレジレ感が満タンとなり、そしてブチッ!と
何か切れるような音がした。(--#)<☆жкЯ〇×▽■%$#!(言語不明の怒り)
ビービー泣くな!泣いているヒマがあるならば、背中をさすってやれ、やることは
山ほどあるのだ、泣いているだけならば、出てけぇぇええ!(("○(ーーメ)プルプル
これだから男ってモノは!と映画をみながら、心の中で叫び、しかし、怒りが頂点に
達すると、やがて ゆっくりと消化して落ちてくるモノを感じるのだ。
男の見栄や世間に立てている看板を外した正直な姿は、ここにあるボクの泣き姿なの
だろう、と。これについては、いい加減、私も認めてしまえば普段の暮らしぶりが
随分と楽になるのかもしれない。(笑)
それにしても、とにかくこのオカンがボクに寄せる愛情には、頭が下がるし、
私には到底出来かねる悟りの境地だと何度も思った。しかし、こうして感想を書いて
いくうちに、まぁ遠くに暮らす息子の目からみた母への賛歌ゆえに、
こうしたストーリーとなり聖母のような母が出来上がったのかもしれないという
思いもよぎる。この映画には出てこなかったが、オカンにはオカンなりの女の部分や、
ドス黒いモノも人生の中にあったに違いないのだが、それは作者が見てみぬふりを
していたのか、テーマが重くなるので、この物語から省いたのだろう、などと
意地の悪い見方が、私の中で浮かんだり消えたりする。
母にも女にも、愛しい者の為とはいえ、受け入れられる許容量というものが
間違いなく存在するように思うのだ。
その許容量の問題が全て母の無限の愛で片付けられるのだろうか? 
だが、それを省くことによって、この映画はオカンの限りない愛情を表現することが
可能となったし、オカンが亡くなった後にも、暖かい余韻には存分にひたれる。
「アリガトネ オカン」というボクを演じるオダギリジョーの声に、もっと沢山「ありがとう」
を言えよっ!という思いで、私はエンディングロールを眺めた。

次に俳優の感想である。

主役のボクを演じたオダギリジョー。
邦画の作品で観たいな・・と思わせる作品に、どうしてだか彼が出演しているモノが
多い。脚本の選び方がウマイのか・・次はどんな役でどんな演技を観せて
くれるのかと、期待して観ずにはいられない日本の役者さんの1人である。
今回の役は、どこにでもいそうなオトコノコ。(大人になってからの役なのだが、
オトコノコと書くのが、一番しっくりくる)平凡で世の中から取り残されないように
必死なのに、一人前になるまで時間がかかり、あっちにこっちに頭をぶつける人物を
好演している。亡くなってしまったオカンの遺体そばに、横たわり目をつぶりながら、
生前の母の言葉をかっての彼女(松たかこ)の口から聞くシーンは、静かな演技ながら
ジンワリとしみてきて良い。次回作もよい脚本にめぐりあって、普段あまり観ない邦画へ
私を誘って欲しい役者さんだ。

次、ボクを限りなく深い愛情で包み込むオカン役を演じた、樹木希林。
この女優さんは、脅威だな・・と私は常々思う。彼女が画面にでてくると、
周りの俳優さん、女優さんを全て食らいつくして、彼女に目がいってしまうのである。
今回は、彼女にしてはアクの強くない、しかし肝っ玉で懐の深い母の役を好演している。
もし、彼氏のお母さんが、こんなに明るく楽しい人であるのならば、彼氏の家にいくのも
苦痛でなくなる女性が、随分と多くなるにちがいない。
恥ずかしそうな笑顔、カレーをよそう姿、息子に手を引かれて歩く姿、
「東京へ行ってもいいんかいね」と何度も息子に電話をする声は母の感情を存分に
出して演じている。最近はもっぱらCMが多いけれど、また怪演を期待したい女優さんだ。

では最後に映画の全体的な感想。

前半にある感想で、おおかたのことは語りつくしてしまい、締めの感想がなかなか
でてこない。(^^;;)うーーむ困ったね。・・・・・・・・・・・・・さて・・
この映画は淡々として、あるものは平凡な日々だけで、際立って目立つことが
起こるわけではない。特に善人がいるわけではないが、凄まじい悪人もでてこない。
描かれているのは、まだこれからも生きてゆくボクと、そのボクを育て、
亡くなった母親の思い出と人情話である。
少々、母親の生き様が美化されすぎているような気がしないでもないが、
主人公のボクに深く心に刻まれたのは、この母の姿なのだろう。
そしてボクに残ったモノが、限りなく暖かいもので、「ありがとう」であるならば、
それは、それで良いのだ。大人になって、親に「ありがとう」が言えるのは、
現在が幸福な証拠だし、普遍的テーマである母と息子の物語に心が揺れるのは
一瞬、むず痒さを感じるけれども、恥ずべきことではないのだ。

なんといっても、人は1人では生まれてこれないからねぇ。
母あっての自分なのだ d( ̄∇ ̄)ハハハハ

母というモノ、おまけにオトコ および ムスコというモノを
再認識させてくれる映画である。(^^;)
観る機会があれば、ぜひ・・・。


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朱色会

こんばんは♪

>私は映画の中を遠くから浮遊しているようだった
という表現がとてもよくキモチをあらわしていると思います。
私は・・まなてぃさんとは逆で、女は母だけ。3人兄弟と父という構成でした。家族のなりたちの違いにより、この映画の受け止め方は異なるのでしょう。そして、観た人が男だったのか或いは女だったのかでも。また、観た人間の家族の歴史や体験によっても見えるものが異なるのだと思います。

男は、母親に対しては情けなくなるものです。これホント。

>ギリギリとジレジレ感が満タン
アハハ。目に浮かぶようですがこの映画の主旨は「平凡」のなかにも実はふとした幸せが存在している。そのことをほとんどの人間は「亡くし」てから気がつく。と受け取りました。長文失礼いたしました。
by 朱色会 (2007-04-19 01:26) 

まなてぃ

>朱色会 さん、こんばんは。Nice&コメントありがとうございます。
本当にこの映画の感想は、観る観客の家族構成や積み重ねた日々が
左右する作品だと私も感じましたね。
その分、普遍的で時間がたって、また再び観たときに違った
味わいをみせてくれるような気もしましたね。

あ、それと長文は、まったく気になりませんよ。
(私はいつも長文だし・・今回の返信コメントも長くなりますよ!汗)
読み応えのあるコメント、本当にありがとう。
記事のほうも毎回楽しみに読ませてもらってます。

で、余談になるのですが、
今日、会社の同僚とお昼に、この映画の話題になりまして、
(この同僚には、小学校5年生になる娘と小学校1年生になる息子
がいる)オカンのボクに対する無限の愛が、本当によくわかり、
とにかく!息子は可愛くて、生まれてきてくれて、ありがとう
なのだそうですよ。。(^^;;) で、私は娘の立場ですからね、
娘については、どう思っているのかと聞くと、「私の参謀かな」
とのことでしたねぇ。息子は可愛いモノで、娘は参謀・・か(--)ウーム
ちょっと、突っ込んで、「母からみた娘と息子だと、どっちが可愛い
もんなのかなぁ」ふってみると、彼女はちょっと黙ってから、
「息子かなぁ・・・・・娘には内緒だけどね・・フフ」(*^-^*)
何がフフだぁ。ちぇえええっ!面白くない。私は娘だよっ!

私の下にいるのが、弟ではなく、妹でよかった?(笑)
by まなてぃ (2007-04-19 21:35) 

まなてぃ

>FuHaさんNiceありがとう。
by まなてぃ (2007-04-19 21:40) 

まなてぃ

>noricさんNiceありがとうございます。(^^)
by まなてぃ (2007-04-19 21:40) 

ノリ

こんにちは。とっても面白く、読み応えのある記事でした♪
私はこの映画を観る予定はありませんが、本は読みました。母と息子の関係は私も女系家族で育った上、娘しかいないのでわかりませんが夫やまわりの男性をみていると、男の母親に対する気持ちというのは妻にとっては脅威と感じてしまいます(^^;この作品の「ボク」にもいえることですね。こんなに母親と密接していた男のもとに行く女性は大変でしょう・・・。
by ノリ (2007-04-20 11:45) 

まなてぃ

>ノリさん、こんばんは。Nice&コメントありがとうございます。(^^)
本当にこの、オカンのような母親をもっている息子と結婚したら、
さぞかし、その妻は大変でしょうねぇ。このお義母さんとなら、
うまくやっていけるかなぁ・・なんて、一瞬、甘いことを思いましたが、
よくよく考えてみると、こんなに愛情にあふれたオカンに育てられた
息子は、お嫁さんとオカンの間になにがあっても、当然、オカンの
肩をもつようになりますもんねぇ。
うーむ・・しかし愛情をもらっていないムスコというのも、ある意味
ちょっと困りものでしょうし・・・・
いやはや、痛し痒しっすね。(^^;;)
by まなてぃ (2007-04-21 22:03) 

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