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リバティーン [映画感想 ら行]

リバティーン

リバティーン

  • 出版社/メーカー: アミューズソフトエンタテインメント
  • 発売日: 2006/11/24
  • メディア: DVD

映画タイトル:リバティーン
初公開年月 :2006/04/08
監督:ローレンス・ダンモア
脚本:スティーヴン・ジェフリーズ
出演:ジョニー・デップ  ジョン・マルコヴィッチ サマンサ・モートン 他
   
■2007.3.19(月) 本日の一言■

さて、先週の土・日は映画館で観たい映画も上映されていないということから、
TUTAYAでDVDを借りて自宅でDVD鑑賞をすることにした。
観た作品は、今年、このブログでは初登場のジョニー・デップ主演の
『リバティーン』である。
この作品は去年の4月頃に公開されて、公開と同時に観にでかけ、
感想をこのブログにもアップしたことがあるのだが、現在、読み直すと
書き足りないところが目についてしまいDVDになった暁には、ぜひ観て、
改めて感想を書きたいものだと思っていたのだ。
しかし、とにかく人気者のジョニー・デップの映画という影響なのだろう、
決して明るくも楽しくもない物語なのに、新作から外れるにも時間はかかるし、
レンタル中が長く続き、なかなかチャンスに恵まれなかった。
が、発売から4ヶ月の月日をえて、ブームが過ぎて借りることができた。(^^;;)
では以下から、あらすじと鑑賞感想を上げることにする。

---あらすじは映画ON LINE 参照---

1660年代、王政復古のイギリス。
国王の親族が居並ぶ大事な宴の席で卑猥な詩を朗読して
国王(ジョン・マルコヴィッチ)の怒りを買い幽閉されていた
第二代ロチェスター伯爵こと詩人のジョン・ウィルモット(ジョニー・デップ)。
恩赦を受けて3ヵ月ぶりにロンドンへと戻ってくる。
しかし、ロンドンでは相も変わらず悪友たちと酒を酌み交わし、娼婦を抱く放蕩の日々。
そんなある日、ジョンは訪れた芝居小屋で観客のブーイングを浴びていた
若い女優エリザベス・バリー(サマンサ・モートン)に目を留める。
彼女の隠れた才能に気づいたジョンは自ら演技指導を申し出る。
悪名高いジョンを警戒して固辞するバリーだったが、ジョンの熱意に押し切られ、
翌日から2人は一対一で稽古を開始するのだった。

それでは感想である。
★以降、ネタバレもありますよ★

17世紀のイングランドが舞台の『リバティーン』。
真っ暗な画面の中から、17世紀の貴族になったジョニー・デップのアップが
浮かび上がり、ロチェスター伯爵になりきってプロローグを語るところから、
この映画はスタートする。
そのプロローグの内容をまとめると、まぁ「俺は嫌われモノ」だということ。
どうして嫌われモノなのかと理由を述べる「女好きで、ところかまわずヤレる」と(--)
そして「男もOKだヤレる」と付け足し、「俺に憧れるな」てきなことを言って
ヤツは(嫌な男なので、ヤツ呼ばわりになる。(笑))暗い画面へと再び消えてゆく。
こうして観客は第二代ロチェスター伯爵こと詩人のジョン・ウィルモット
(この先はジョンと書く)の破天荒な人生を観ることとなる。
私の目から見ても、このジョンという人間は、しょうもない男である。
ジョンは誘拐をしてまで得た妻に、馬車の中で情事を交わし、そうした妻がいるにも
かかわらず、すぐさま売春婦にも色目を使い、酒をかっくらい、本当に何処にいっても、
誰とあっても皮肉しか言うことができないのだ。
ただそんなジョンにも真実と熱意をもって向かうことができるモノが3つあるらしい。
それは、
①新人女優であるエリザベス・バリーの才能を見出したこと(らしい)
②彼女の演技指導をすること(らしい)、
③芝居の脚本を書くこと。(王も認める脚本を書く才能がある らしい)
何故、ここで(らしい)という言葉を使うのかというと・・私がこの映画を観る限り、
まず新人女優であるエリザベス・バリーの才能を誰よりもジョンが早く見出したという
ことなのだが、彼女の何処に才能の片鱗があるのか、私は映画から読み取れなかったし、
また、彼女にジョンが持つ演技の全てを教えた・・というフレコミなのだが、映像から
流れてくる演技指導は本当にお粗末なモノなので、そののちジョンが
エリザベスに魅かれ、「私は本気だ」という愛の告白も、私の中に響いてこないのである。
またジョンを庇護している国王、チャールズ2世のたっての頼みで彼が製作したという
舞台は、エロエロ舞台であり、卑猥と猥雑と毒のある意味ありげなセリフ回しをつかって、
庇護している王を馬鹿にした内容である。
そのため彼の描く戯曲の良さも、私は少しもわからぬまま、結局、理解できたのは、
チャールズ2世の怒りを買い、舞台から逃げるように去るジョンの姿だけであり、
ジョン自身が言う「私の深淵は限りなく深いのですよ、母上」のセリフも
ただ意味深なばかりで理解不能なのである。
この作品を初めて観たときは、何ゆえにジョンは苦しみ、酒浸りになり、女遊びにふけり、
妻に当り散らすetc の行動に走るのか・・という理由がとかれてゆく映画なのかと
かってに思ったりもしたのだが、映画の序盤から中盤の終わりまでの物語1つ1つの
エピソードはここの感想に書いたとおりで、私が納得のゆくモノ、共感ができるモノが
何1つないのであった。
よって私にとっての、ジョン・ウォルモットとはジョニー・デップの顔をした、
伯爵の位を持つ、タダのドラ息子&ダメ男としか目には映らず、ジョンの言う心の
「深淵」には少しも近づけなかったのである。

ただし、酒と女と皮肉と反抗・・家族を捨て愛人に走り、王に背き・・友人を見捨て・・と
好き勝手な真似をした男の顛末について、この映画はきっちりと描いているようには思う。
卑猥かつ国王を馬鹿にした舞台を披露したのち、チャールズ2世からの庇護を失い、
酒から来るフシダラな喧嘩沙汰を起こし仲間を見殺しにしたジョンに貴族社会と
ロンドンの民衆は冷たくなるのだが、まぁ、これは当然の世のならいであろう。
だがジョンが育てた女優兼愛人のエリザベスのジョンに対する愛情の見限りが早いのには、
女の本能に従っているとはいえ、私も呆気にとられてしまうばかりである。(--;;)
おまけに女遊びから患った梅毒がジョンの体を蝕み、肌は荒れ、左目は濁り、失禁をし、
歩くこともままならなくなったジョンに付き従ってきた者が、売春婦と泥棒癖のある召使だけ
というのも、ジョンの理由なき数々の放蕩の末なら誰もが納得することであり、
チャールズ2世が怒りから「お前を完全に否定し最期まで無視することにした」と
言い放たれるのも無理はない。
だが不思議なことなのだが、こうした顛末が語られるようになるにつれて、
私はジョンについて、納得がゆくシーンを見つけることができるようになるのだ。
梅毒という病からくる近づく死の足音に怯え、かっての愛人であり女優のエリザベスに会い、
彼女との間に自分の娘がいることを知り、今更もう後戻りのきかない自分の命の終わりを嘆き、
チャールズ2世から言われた「完全否定」に対して初めて自分なりの方法で報いようと、
議会へ乗り込んでゆくジョンの姿は、見るも無残な梅毒末期患者の恐ろしいモノでありながら、
「まぁ最後くらい立派にやれ」と妙に応援してやりたくなるのだ。

さて、その議会についてなのだが、初めてこの映画を映画館で観たときに、
この議会の問題となっている議題の内容について、私の17世紀のイングランド史の知識が
浅かったため、ひじょうに理解に苦しんだ。
もしこれから、この「リバティーン」を観る人がいるのであれば、以下の3つを頭に
入れておくと良いのであげておく。

①イングランドはヴァージンクイーンと謳われたエリザベス女王の父、ヘンリー8世により
国教(宗教)をカトリックからプロテスタントに変更している。
よってイングランドはプロテスタントとカトリックの宗派の遺恨と火種を抱えていた。

②その後、チャールズ2世(ジョン・マルコヴィッチ)の父、チャールズ1世は、
妻(カトリック)をフランスから迎えイングランド全体から反感を買う。
チャールズ1世は国教をカトリックに戻そうと画作するが失敗。
(イングランド内戦、ピューリタン革命)。

③チャールズ1世の息子であったチャールズ2世(ジョン・マルコヴィッチ)とその弟は、
母の祖国フランスへ亡命。のちにチャールズ2世は王としてイングランドへ迎え入れられる。
だがイングランドの国庫はフランスからの援助に頼ることが多かった。
またチャールズ2世には正式な息子がおらず、弟であるジェームズ2世が跡継ぎとして
候補にあがる。しかしジェームズ2世はカトリックを信仰しており、イングランド国家は
彼を廃嫡扱いとして国王の地位につけないようにしたいと考えていた。

ようは映画で扱われているチャールズ2世を悩ましていた議題とは、
実の弟ジェームス2世がカトリックを信仰しているゆえに王室の血筋から廃嫡するよう
議会から求められていたことなのだ。この議題は、梅毒末期状態をおして議会に顔をだした
ジョンの発言によって廃案となりチャールズ2世を救うこととなるのだ。

多分、ジョニー・デップが主演していながら、この映画がヒットしなかった原因は、
ジョニー・デップのおもしろい演技や楽しい演技がなく、最初から最後まで、
凄まじいばかりの負け犬男を演じていることもあるだろうが、もう1つの原因は
このイングランド史の背景について日本の観客があまり知っていなかった為に、
後半に描かれる議会で主人公ジョンが語った演説の内容や、この演説によって
実弟が救われたチャールズ2世の安堵感、あれほどに否定していたジョンを認めるまでの
心の動きがわかりにくかったのではないか・・と、私は今回の鑑賞で感じた。
正直にいって私も2度目の鑑賞を楽しむにあたって、1回目の鑑賞で見えなかった
イングランドの歴史背景をWikipediaで検索し調べるより仕方がなく、それを知って
やっと彼らの人間模様、チャールズ2世の安堵の表情に納得がいったのだ。
まぁ、もとがイギリス製作の映画であるから、イギリス人向けに作ってあるのは当たり前、
イングランドの歴史くらい知っていて当然と思って、映画は作られていたのかもしれないが
他国で上映する可能性も大きかったのだから、物語の中にもう少し歴史的背景を組み入れる
努力を脚本家はやるべきではなかったか?と思う。はっきりいってこの『リバティーン』は
最初から最後まで、観客の知識と役者の演技に頼りきりだし、独りよがりの匂いが
することも確かだ。(--)映画をみるために、楽しむための下準備、調べ物をする
モノ好きはそう多くはいない。映画は娯楽である。予備知識をいれるなんぞ、
映画を気楽に楽しむという、単純な動機からこの作品は少々外れれていることは
いなめないのだ。( ̄  ̄)bウン!
だが・・ここまで読んで、やっぱりこの『リバティーン』を観るのはやめようと思った方、
ジョニー・デップが好きであるならば、己の激しさを御せず負け犬となった男の演技と
病のために醜くなった、そのお姿を観ておいて損はないと思う。
そして美しい姿に戻ったジョン・ウィルモットが最後に問いかける「Do you like me now?」
に各自の答えを出すのも悪くないはずだ。

次に俳優の感想。

第二代ロチェスター伯爵こと詩人のジョン・ウィルモットを演じた、ジョニー・デップ。
台本の冒頭の3行を読んで、出演を決意したとか・・ゞ( ̄∇ ̄;)ヲイヲイ<マジデスカ
確かに今までのジョニー・デップが演じてきた負け犬役とは一線を画している。
しかしジョニー・デップの演技に悪いと思われるところは見当たらず、よく頑張って
ここまで演じたなと思う。
とにかく映画上での主人公の行動が、ひたすら女→酒→女→酒→演劇→王様といったことの
繰り返しなので大きなアクションがなく、セリフと顔の表情で激しく起伏する主人公の性格を
表現せねばならず、けっこう演じるのが大変だったのではないかな・・という気がする。
コスプレ姿は格好いい、病の姿は不気味であり、失禁シーンまでやりますか・・と
そのプロ根性には頭が下がる。今回はアップのシーンが多いので顔演技を楽しむには
もってこいである。しかし『リバティーン』があまりに激しい役だったので、
次回は少し良い人の役をやってもらいたいが・・・どうだろう。無理か・・(TT)

次、イギリス国王チャールズ2世を演じたジョン・マルコヴィッチ。
参りました。何の文句のつけようがない演技である。内面の演技がウマイのか・・
寵愛から憎しみ、そして許し理解する経過が、ちょっとの台詞回しで演じきれて
しまうのである。この人の凄いところは、外見はあの糸目!あ!ジョン・マルコヴィッチだ
とわかるのに映画をみている間は、その役に彼が埋没してしまうところである。
いやはや・・久しぶりに演じた姿を見たけれどもうまかったなぁ・・・
私としては、全く興味のなかった『 エラゴン 遺志を継ぐ者』にも出演していたらしい。
彼が出演しているのならDVD鑑賞しても良いかなと思ったほどだ。
次回作に期待したい。

最後に映画の全体的な感想を書いておこう。

映画『リバティーン』・・1人の貴族の男の人生を描いた物語である。
しかし3人の女性の物語でもあると思う。
この映画には3人の女性、正妻、愛人、売春婦がでてくる、
私の中にある女の目からみると、一番、得をしているのは愛人であった
女優のエリザベス・バリーだろう。ジョン・ウィルモットの演技指導から
女優の栄光を勝ち得た上に、愛した男の子供まで生むが、きっぱりとジョンの愛と決別し
ジョンの不幸を共に背負うことをしないのは、私としては、そこまで割り切れるとは
あんたは天晴れだね徹しているね・・という感想をもたざるえない。
売春婦はジョンに対し愛を感じそうになるが、商売と割り切ろうとするし、
ジョンも深追いをしないので痛手は少ない。
そして一番、損な役回りは、どう見ても正妻であるエリザベス・マレットである。
彼女を捨て放蕩三昧をした挙句、梅毒になり戻ってきた男・・そんな夫の死に水を
とってやるとは偉いな・・と思う。しかし反面で妻となるということが、夫がどんな姿に
なろうとも引き受けていかねばならないという事実も見たように思う。
私なんぞには、到底できかねる心境だ。妻って本当に凄いなぁ!なのだ。

さてこれで『リバティーン』については書き尽くした感じがするので
主人公のジョンが最後に観客に投げかける「Do you like me now?」に対する
私の回答をして、この感想はおしまいにしよう。

『リバティーン』は偏屈で美しい男が、常識を捨てて刹那的に人生を生きたという映画だ。
主人公は、私の好きなジョニー・デップの顔をしたジョン・ウォルモットである。
が、しかし、私はこんな男と関わるのは、絶対に真っ平ご免だ。(^^;;)

答えはそう、これ以外に見つからない。

・・・・・・・・・・・「I hate you now !」 (><)


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コメント 10

まなてぃ

>noricさんNiceありがとうございます。(^^)
by まなてぃ (2007-03-20 17:06) 

カウンタック

ロンドンは、水道水が飲めないとききます。いつも曇っていて、日本人にはきびしそうです。全編暗い雰囲気のなかに、包まれていそうです。デップにも会わないのでは。
by カウンタック (2007-03-25 10:16) 

まなてぃ

>カウンタックさん、Nice&コメントありがとうございます。(^^)
ロンドンは水道水が飲めないのですか・・それはかなり不便ですねぇ。
お茶はおいしい国と聞いているのに、水が悪いのは困りましたね。
デップはフランス人の恋人を連れているので、イギリスには
行かないでしょうね。(仕事以外では。)(^^;;)
by まなてぃ (2007-03-26 08:57) 

まなてぃ サン:ジョニー・デップ好きですが、まだ観てませんでした。中々手を出しにくい作品ですね、リバティーン(笑)。でもそのうち観てみたいです。雰囲気としてはリバティーンもジョニー・デップの役どころは彼らしい(?)というか悪くないのでしょうね。ジョニー・デップの映画ではフロム・ヘルが好きです。ギルバート・グレイプ もはまり役でしたね。
探偵の工藤より。
by (2007-04-10 00:22) 

まなてぃ

>工藤俊作さん、こんにちは。Nice&コメントありがとうございます。
確かに『リバティーン』は、レンタルショップでも、手がだしにくい作品
ですね。おもいっきりR-15指定であるし、物語は暗いし、主人公は
淫乱のきわみを突っ走っているので、まぁこれだけやれば梅毒も
仕方あるまいという気分になりますよ。(笑)
しかし、ジョニーの負け犬役の真骨頂はみれると思います。
ここまでやるか!さすがだねぇと、うならされましたね。

私も『フロムヘル』をかなり前に鑑賞したことがありますよ。
えぇ!犯人はあんたかい!と驚かされるのと同時に、
ジョニー・デップの演じている役の思わぬ最期に
びっくりしたことを今でも、はっきり覚えています。
『ギルバート・グレイプ』は大好き作品ですね。
ジョニー・デップにしては、普通の青年役で、エンディングでは
幸せになれよぉー!がんばれぇ・・・てき気分になりますよね♪
by まなてぃ (2007-04-10 18:04) 

NO NAME

まず、ロチェスター伯爵ですが、「莫大な財産を継承したエリザベスを誘拐して、国王の怒りを買い幽閉される」
この意味はわかりますでしょうか。
エリザベスの相続の際、国王は、貴族の所領、財産ともに回収しようとします。当然、ロチェスターは知っていて、それを阻止します。
エリザベスにとって、ロチェスターの存在がどういうものなのか、見直してみてください。
舞台に上がれば「引っ込め」といわれものを投げつけられた「代役」の女を見れば、解雇されることを予測して立ち回ります。
そして、彼女に実力をつけさせるのに長期間かけます。
彼の母親は、貴族の誇りに傾倒して「人間」がどのようにつらくとも生き、どのように才があっても報われないことを無視して、弱きものを助けるのに臆病でありながらも、自身の人生を使う事をためらわぬロチェスターを「心の奥深くを探って悪魔を見つけなさい」などといいます。
字幕では「私の深淵は限りなく深いのですよ、母上」となっていますが、彼の行動とともに見れば分かります。 母親にキスをする仕草をして放つ言葉なのです。「奥深くを探るのですか 母上」。
母親はきびすを帰して立ち去ります。
彼は、安全地帯を維持できませんし、しようとしていません。
ロチェスターは救う人だったのです。
娼婦も救います。 娼婦の台詞「これ以上私の心を動かさないで」は彼との性交が行われていない事を示しています。 
救った女優は、成功と共に彼を見放します。
救った泥棒は 破滅するがままについて歩くだけです。
娼婦は無力ゆえに 彼の困窮に助けになりません。
救った妻は、彼が救ったもの達に見放された事をしり 泥棒を退け支えになります。
彼の友人は 彼と成功を収めた女優とを引き合わせます。
女優は「子供を生んであげたのだから貸し借りなしだ」と言い放ち 助けになる事を拒みます。
国王が窮地に陥ると、醜い姿を晒してまで議会へ赴きます。
国王の思惑も、議会の思惑も見事に晒した後で 王家の血を絶やす損失について問います。
理非を問い 国を救います。 覚えておいでと思いますが、冒頭、軍は王が莫大な出費をしつつフランスに備えるのに維持しているのです。
そして、フランスとの友好交流は 彼がめちゃくちゃにしてやりました。
「ありえないから」です。 演劇ひとつでご機嫌取れるわきゃありません。
彼は、若いころから 自分を切り崩していく事しかしていない人です。
誰もが彼の 頭脳を認め善き者と知っていても 彼の助けになれません。
彼が正しいから。
彼自身、切り崩して行った先を 最初から知っていて行動しています。
彼を認め、彼に付き従う若者に「仲間になれば死ぬことになる」と突き放そうとします。 若者は、それでも、何があってもロチェスターを擁護し続け、治安官にロチェスターが見つかりそうになりロチェスターが切り殺そうとすると割って入って死ぬことになります。
古くからの貴族友達は、治安官とは事を起こせません。
彼は 自身を思い起こし「キリストは こうだったのだろう」と言います。
その通りだと思います。
彼の議会での演説を聞くと そのザマでなお、自らの至らぬところばかりを上げ その議題で何が起こるのか、議場で何を決めようとしているのかを諭す台詞に、力が入ってしまいます。
強きをくじき 弱きを助け 自身の滅びにひるまない 人生を生きた男のお話です。
 彼は、好きになってほしかったのでしょう。 キリストのような彼を愛してほしかった。 そしてそれを自分自身で最後までむなしく確かめようとするエンディングに、涙しました。
 アルジャーノンに花束を、ではありませんが、慈悲深く そして賢者であれば、彼以外の人生を迎えられるものはいないでしょう。
 キリストのように、ですね。
実はキリストのように 救ったもの全てに裏切られ、または敵ができると逃げ去るといった人の世で、身を滅ぼすものは多数存在します。
 そういう映画なのでしょう。

by NO NAME (2015-10-01 00:06) 

NO NAME

追伸
言うまでもなく、 彼女は女優以外で生きていけない人です。
売春婦には 客となり 泥棒は雇ってやります。
財産を狙われる娘がいれば結婚し、国を救えと言われれば救います。
決して、誰にも、理解される事なく。 分かり合うことなく。 ただ愛されたい気持ちはそのままに。
どうすれば救えるのか、それをし続けて、力尽きた人の話ですね。
哀れで、愛すべき男です。
by NO NAME (2015-10-01 00:11) 

NO NAME

さて、ロチェスターについは 詳細は長くなりますのでこの辺で終わり。
脚本ですが、 理性についての映画にしたかったようですね。
知性と言ったらいいのでしょうか。
無力なものは 恩を返せません。
救う為には知力が要ります。
知力も良心もあっても 貴族仲間のように保身が勝れば身を引くことになりますし、女優のように名声を求めるものは名声の役に立たねばそっぽを向きます。
国のことを思う王も 王であるがゆえにロチェスターの言動を理解できません。 「無視してやる」に、不満がにじみ出ています。 理解できないのです。 偉いのは自分だから。 最後、国を救われたことに気づいたとき「偉いぞ」と言います。 王よりです。 王が「偉い」と言います。
脚本は、人の愚かさと理知を 思い通りに書き綴ったのでしょう。
 知ることができなければ ただの放蕩貴族の破滅です。
 冒頭で、脚本家は「これを見たら 気分の悪い馬鹿の破滅だと思うだろうさ」と ロチェスター役に言わせていました。
 そして巻末で「私を好きか?」と何度も何度も、悲痛に問いかけさせていました。
 楽しめる?というか、苦しめる?というか まぁ、脚本家の「よしできたぞ」って聞こえてくるような作品ですね。
お見事ですね。


by NO NAME (2015-10-01 00:25) 

NO NAME

冒頭、「男は軽蔑する」でしたっけ?「女は」?
笑ってしまいますね。 その程度なんだろ?って感じですね。
終わりでは「私が好きか?今でも?ほんとに?」www
悲しくなってきますね。
性交ができなければ用なし、栄誉がなければ用なし、権力を持たねば用なし、女の愛とやらに従わねば用なし。
いろいろありますね。 仕事をしなければ用なし。
 彼が、貴族然として優雅に毅然と立ち回ったら?
大使のもてなしに いい気分になってもらえる脚本を書いていたら?
売春婦など相手にせず 泥棒など処刑していたら? 18の小娘が莫大な財産によって破滅するのを国王はさすが賢いですと賞賛していたら?
バカな身の程知らずの事大主義女なぞ、物を投げて「引っ込めコール」を皆と一緒になってしていたら?
 あなた方のように。
笑えますよねw
by NO NAME (2015-10-01 00:40) 

なな

ん~そんなに難しい内容でしたかね?
高校程度の世界史を知っていればリサーチせずともすんなり入ってくる内容かなと
セリフを和訳に頼ると分かりにくいんですかね
by なな (2017-03-10 11:52) 

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