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ブラッド・ダイヤモンド [映画感想 は行]

ブラッド・ダイヤモンド [DVD]

ブラッド・ダイヤモンド [DVD]

  • 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
  • メディア: DVD

映画タイトル:ブラッド・ダイヤモンド
初公開年月 :2007/04/07
監督:エドワード・ズウィック
脚本:チャールズ・リーヴィット
出演:レオナルド・ディカプリオ ジェニファー・コネリー  ジャイモン・フンスー他
   
■2007.4.7(土) 本日の一言■

久しぶりに映画館へでかけることに・・
で、本日、鑑賞する映画を前評判の高い『ブラッド・ダイヤモンド』にするか、
安全!楽しい!絶対ハッピーエンドが約束されている、ジャッキー・チェン主演の
『プロジェクトBB』にするかで非常に迷ったのだけれども、ここのところ香港映画を
主題にした感想が続いていたし、なんと4/9に行われる中国映画のブローガー試写会と
いうモノに当選することができたので(^^)v ブログにアジアンな映画ばかりが
続くのもおもしろくない理由から、本日はハリウッド製作!硬派で社会派の
『ブラッド・ダイヤモンド』を選び鑑賞することにした。

---あらすじは映画ON LINE より---

激しい内戦が続く90年代のアフリカ、シエラレオネ。愛する家族とつましくも
満ち足りた生活を送る漁師ソロモン(ジャイモン・フンスー)。しかしある日、
反政府軍RUFが襲撃、ソロモンは家族と引き離され、ダイヤモンド採掘場で
強制労働を強いられる。そんな中、彼は大粒のピンク・ダイヤを発見、監視の目を
かいくぐりそれを秘密の場所に隠す。
一方、ダイヤの密輸に手を染める非情な男ダニー(レオナルド・ディカプリオ)。
ある時、密輸に失敗し投獄された刑務所で、巨大ピンク・ダイヤの噂を耳にする。
やがて釈放されたダニーは、ソロモンに近づき、家族捜しに協力する代わりに
ダイヤの隠し場所を明かすよう迫る。一方で、アメリカ人女性ジャーナリスト、
マディー(ジェニファー・コネリー)に対しても、彼女が追っている
武装組織の資金源“ブラッド・ダイヤモンド”の実態に関する情報を
エサに自分たちへの協力を取り付ける。
こうして3人は、それぞれの思惑を胸に、ピンク・ダイヤを目指す危険な道へと
進んで行くのだが…。

次に感想である。
★以降、ネタバレあり★

最近、ハリウッドはアフリカをテーマにした映画がよく公開される。
有名どころで『ホテル・ルワンダ』、『ナイロビの蜂』、『ロード・オブ・ウォー』
など、現在のアフリカは内戦、内乱、飢餓、エイズ問題があるため、
共産主義の崩壊後、物語のテーマに事欠きだしたハリウッドは、こぞってアフリカを
物語の主題に置きだしたような気がする。
今回のテーマはハリウッド映画でも初の、アフリカから産出される大きな
『ピンク・ダイヤモンド』にまつわる裏の世界である。
初のテーマだけに、観客であるこちら側の人間も、ダイヤモンドの取引の現状、
儲かるモノについてまわる裏取引の現状、それにまつわる内戦に様に、
前半はとにかく、どんどんと映画に引き込まれてゆくだろう。
ディカプリオが演じるのは、アフリカ生まれの白人で、幼い頃に両親を内戦で失い、
傭兵となり、そこで知り合った大佐の手ほどきで、ダイヤモンドの闇ブローカーと
なった男、ダニーである。彼にとって内戦は日常茶飯事の事であり、自分が戦いに
身を投じて明け暮れようと、アフリカは何も変わりはしないと、非道な目で
この国を見つめている。もう1人の主人公は、同じアフリカ人ではあるが、
いつかは、この国は目覚め、パラダイスになる・・息子は医者になるのだと信じて、
朴訥と漁師として生きている黒人のソロモン(ジャイモン・フンスー)である。
彼は反政府軍RUF(反政府を名乗っているが、現実はダイヤモンドの鉱石所の
奪い合いが目的であり、さしてアフリカの為にはなっていない)襲撃の被害者であり、
RUFに子供を奪われ、一家離散の悲劇を抱えている。こうした内情を抱えた
2人がソロモンがRFUの囚われの身となったときに偶然、採掘したピンクダイヤを
共通のリンク項にして関わることとなってゆき、そこへと辿る道筋は、アフリカで
起こっている内戦の惨劇を盛り込んで、まことに丁寧な作りとなっている。
ここまで鑑賞した時点では、ソロモンを利用しピンクダイヤを手中にいれたいと
考えている狡賢いダニーとダイヤの資金で家族をなんとしても救いたいソロモンとの、
駆け引き、それに伴うダイヤモンドの裏取引の実情、内戦の様が絡んでゆくのかと
思っていたのだが、RUFによる市街戦を2人で脱出した後(この市街戦のシーンは
なかなか迫力があって一見の価値があると思う。)、ダイヤモンドの裏取引に
ついて取材を続けているジャーナリストのマディーと出会ったあたりから、
物語に横たわっていた厳しい現実の世界が、かなり甘いモノへと変貌を遂げてゆくのを
感じずにはいられなかった。そもそも、いつ命を奪われても、おかしくない現場にいて、
「私は真実を知りたいのよ」などと吐き気を伴うことをいうような女ジャーナリストに
数々の修羅場を踏んだ、闇ブローカーがコロリと共感し、愛を感じるだろうか?
彼女の言うジャーナリストとして、アフリカに対する自分の筆の無力感を吐露された
ところで、「アマちゃんだな、それならば帰れ」というのが本音であろうし、
狡賢いダニーがマディーを騙し切り、目的のダイヤを手にいれることなど
赤子の手を捻るより簡単なことなはずだ。しかしこの映画では、あれよ・・あれよ・・と
非道なはずの闇ブローカーのダニーは彼女の意見に同調して、骨抜きとなり、
激しくダイヤを欲する男が次第に薄れてゆくのを感じずにはいられなかった。
また、これを境にそれまで残虐ぶりを発揮していたRUFの描き方も、だんだんと、
主人公たちの引き立て役と成り下がり、ご都合主義というか、撮影している現場まで
観えるような、ハイ!ここでRUF登場、銃を乱射して暴れる、ジャングルを駆け抜けろ
といった指示まで、聞こえてきそうな、おきまりの映像で、いつ殺されるかわからぬ
緊迫感が消えていった。
映画の前半にあった、あの胸を悪くするような、どす黒いモノは、いったい何処へ
いったのだろう。主人公であるディカプリオやソロモンを演じるジャイモン・フンスーが
役柄に没頭し熱演しているにも関わらず、私は、なんだか・・イヤーな予感を感じだした。
もう闇ブローカーの非道なダニーは何処にもいない。絶対的な主人公の個性は消え、
このままいけば彼は多分、死ぬだろう。(--)助かるのは純朴さが売りのソロモンと、
運がよければその息子というのが読めてくるのだ。なんだか違う、こんなことしか
伝えられないのか、闇ダイヤモンド取引は、もっと底なし沼のように暗く、深く
情や愛など簡単に飲み込み続ける恐ろしい力をもっているはずだ。
だからこそ長年、アフリカ、シエラレオネは内戦と内乱に苦しんだのだ。

結局、最後はハリウッド映画なのだ。ダニーは非道な闇ダイヤモンドブローカーではなく、
ソロモンを助けるお人よしの甘ちゃんになってしまい、ソロモンは暖かな拍手に迎えられ
ながら闇ダイヤモンド撲滅の講演のために、壇上へ上がってゆく・・エンディングロールで
その後のアフリカの現状、ダイヤモンド取引についての規定などがプロットで流れたが、
どうなのだろう、この映画の物語のスジで、「ダイヤモンドを買わない運動」という
紹介メッセージが、生きてくるのか?と、私の首は傾いた。
問題はダイヤモンド買う買わないそのものではなく、それを扱う人間が問題なのでは
ないのかね・・説得力が欠けるな・・と結論づけて、私は席をたった。(--)

次に俳優の感想である。

主役の闇ダイヤモンドブローカーを演じたレオナルド・ディカプリオ。
思ったよりも、冷めて非道なこの役がうまかったので驚いた。
以前の作品、『ディパーテッド』や『アビエイター』に比べて、あまり眉間に
皺をたてながらの顔演技ではなく、体全体をつかっての演技と映像が観れて
私は楽しめた。だんだん男臭い役どころにも違和感がなくなってきたな・・
という感じだ。次回作にも期待をしたい。

次、家族を救うためにピンクダイヤモンドのありかを案内するソロモン役を
演じたジャイモン・フンスー。この俳優さんを知れたのは、収穫。(^^)
本当にウマイ!家族を思い、息子を思う父の感じが、とてもよかったし、
損得勘定や騙し騙しあいを知らぬ男の演技、瞳で疑ったり怒りを表現する力が
あってとても良いのである。次回作・・私が観るような作品に出てくれれば
嬉しい。

では最後に映画の全体的な感想。

映画は非常にわかりやすいストーリーで製作されていて、
誰が観ても、闇ダイヤモンドによって起こるアフリカの現状や内戦の有様を
わかりやすく理解することを可能にしている。それは素晴らしいことだとは思う。
しかし、もう一歩、二歩、三歩!物語に奥行きが欲しいというのも
私は否めない。闇宝石ブローカーが、どのような思いで、どのような方法で、
宝石を売りさばくのか、闇ブローカーへ宝石を売るアフリカの人間たち
RUFの考え、思いはどういったモノであるのか・・といったような深さが、
残念ながら、この映画にはないのだ。せっかくノンフィクションで製作されて
いるのに、流れている映像は、NewsWeekやUSA TODAYにでてくるような悲劇の
アフリカ・・その画像ばかりで、そのもっと奥にあるモノは正直、あまり語られず
見えてもこないというのが、この映画の特徴のように思う。
せっかく凄いテーマを掘り起こしておきながら、私としては少々、肩透かしを
食らったような映画だ。

うーん・・でも、今、yahooの映画評などを読むと、皆、ベタ褒めだ。
私は異邦人状態か・・(><)

まぁいい・・映画の感じ方はそれぞれであるのだから。
本日は以上である。


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コメント 9

朱色会

こんばんは、私も今日見てきました。
レビュー書きました。よろしければご覧ください。
by 朱色会 (2007-04-08 00:05) 

まなてぃ

>朱色会さん、コメントありがとうございます。(^^)
いまさっき、そちらにうかがわせていただきました。
私にとってはこの作品は微妙な映画でしたよ。
by まなてぃ (2007-04-08 01:44) 

まなてぃ

>FuHaさんNiceありがとうございます。
by まなてぃ (2007-04-08 19:04) 

まなてぃ

>noricさんNiceありがとうございます。
by まなてぃ (2007-04-08 19:04) 

ども。すごく興味あるテーマなんですけど、結局はハリウッド映画であるわけで、それなのに傭兵にされている子供たちのシリアスな問題も含めていて、どこか深く踏み込めませんでした。これはインディーズとかで扱った方が良かった気がします。ジャイモン・フンスーは『アミスタッド』でも素晴らしい演技をしていますよ。
by (2007-04-11 09:07) 

まなてぃ

>katoyasuさん、こんばんは。Nice&コメントありがとうございます。
本当にびっ!微妙~~~な映画でしたねぇ。
娯楽映画なのか、社会性のあるメッセージ性の強い作品であるのか、
よくわからず、深刻ぶった娯楽映画・・・という結論を私は出しました。
唯一の救いは、ジャイモン・フンスーの存在を知ったことでしょうか。
これがなかったら、私、¥1800返せぇええ!と叫んでいたかも
しれないですね。(笑)本当に、ジャイモン・フンスーはうまかった!
ブラボウ!です。(^^)v
by まなてぃ (2007-04-11 18:03) 

流星☆彡

私は 試写会で観たので、「¥1800返せぇええ!」どころか 「○得♪」
気分で居りましたが、こういった感想に 初めて出会えまして、じっくり
読ませていただきました。
“結局、最後はハリウッド映画なのだ。”という点について。訴えたい
主題を 広く世に影響力を持つものに するためには、取らざるを得ない
手段では…と 私は捉えています。この点を責めてしまうと、いつまでも
“知ってる人しか知らない”社会問題のまま 潜在させてしまう…のでは !?
と 憂慮してしまいます。
この作品の使命は、まず“分かりやすい形”で 世に頒布させて、多くの
人の注目を喚起すること…に、製作側が Targetを定めた!・・・という
解釈を、私は持っていたりします。特に ダイヤモンドの顧客として 世界で
第2位の消費力を持つ 日本人女性に 訴えるとしたら、レオ様 大活躍の
この作品の意義は、とても大きいものと 思えたり。。。それで、社会的
使命も果たせているのでは!?…と 思っている私です。

当方記事=レオ様ファンのミーハー感想ですが、TBさせていただき
ますね。(^^ゞ
by 流星☆彡 (2007-04-13 16:38) 

まなてぃ

>こんばんは、流星☆彡さん、Nice&コメント、そしてTBまで
いろいろと、ありがとうございます。(^^)

娯楽性と社会性を共存させて、客に魅せるというのは、
映画の永遠のテーマのように私は思っています。
もちろん娯楽性がなければ、客は好んで映画を観にはでかけない。
道徳的、説教的な物語をお金を払って貴重な時間をさいて、
わざわざでかける物好きは、まずいないといっていいでしょう。
私も、そういった映画を観に行かないと断言できますよ。
しかし、それだけ難しい両立だけに、その両方を兼ね備えた
映画の出現を私は期待して待たずにはいられないのですね。(^^)

例えていえば、おいしいけれど苦い、ということでしょうか。
わかりやすい娯楽性と現実の奥にある辛い事実と
人間の狡賢さを織り込み、観終わったあと、誰もの心に
いつまでも残るような社会派の映画が観たいのですよ。

この『ブラッド・ダイヤモンド』は、多くの人に観られる娯楽映画だと
いうことは、間違いないでしょう。物語のスジのわかりやすさ、
ヒューマン的暖かさもある。おまけに、演じる俳優は、演技力に
磨きをかけてきたディカプリオなので、安心して観ていられる
作品にあがっていると私も感じましたよ。ダイヤモンドの現状を
世間が知るには良い機会にはなるでしょう。
ただ、私としては、あと、もう一歩、奥行きと苦味が欲しいのですね。
贅沢ですかねぇ・・・でも、またこういった映画が公開されたら、
私は期待して観ずにはいられないんですよ・・きっとね。(笑)
by まなてぃ (2007-04-14 01:17) 

まなてぃ

シロタさん、ご訪問&niceどうもありがとう。(^^)
by まなてぃ (2010-04-30 22:35) 

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