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BLOW [映画感想 は行]

ブロウ

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  • 出版社/メーカー: タキコーポレーション
  • 発売日: 2002/05/24
  • メディア: DVD

■2006.5.15(月) 本日の一言■

「ナイロビの蜂」、「明日の記憶」と重めの映画が封切られた。
どちらもいずれは観てみたいと思うが、封切られ直後の映画館の
混みかたが予想できず、本日はレンタルでDVD鑑賞することにした。
本日観たDVDは、ジョニー・デップ主演の映画「BLOW」。

この映画「BLOW」は、ジョニー・デップが主演の映画でありながら、
あまり人気が高くない。
過去、友人と映画会(飲み食べしながら、友人宅で映画を観る)という
ものを催した時、この「BLOW」を観たことがある。一人の女友達は映画の途中で
眠ってしまい、もう一人の女友達は鑑賞後ボロカスに批評したのだが、
残り3人の男友達は、好意的な感想&「おもしろかった」を口々に言ったことが
思い出される。
私としては、ジョニー・デップが好きな負け犬役ぶりが一番よく観れるのは、
この映画だと思っている。前半は何もかも手に入れ颯爽と格好のいい男が、
最後には、何もかも失い、姿は疲れ果てた中年男に変貌し、腹が出てしまい
歩き方も痛々しい姿になっていく演技は、さすがです、やってくれました感が強い。
(女友達はそこがまた、許せないといっていたが・・)
また、この映画にでてくる俳優は、60年代にタイムスリップしたとしたら、
あぁこういった人物に会えそうだと思わせるほど役に徹していて口が開くほどである。

★では以下から映画の感想に入る。ネタバレしますよ★

あらすじは次のような感じである。
1950年にマサチューセッツに生まれたジョージ・ユング(ジョニー・デップ)は
子供の頃、父の会社が倒産、生活苦からの両親の不仲の中、いつしかジョージ自身も
母との関係がうまくいかずに、貧乏暮らしを強いられる。
60年代に大学生になりカリフォルニアの大学へ通うジョージは
ヒッピー文化のシンボルにもなった、マリファナの小売りに手を染め、
ディラーとして大成功を収めた後、コカインの密売をスタートさせ、
人生の頂点を極めるのだが・・

この映画は、麻薬ディーラの成功と挫折の半生を描いた実話である。
ジョージ(ジョニー・デップ)は何の罪悪感もなく当時、流行していた
マリファナをまるでファッションでも楽しむかのように味わい、
仲間から「楽をして金を儲けることができる」という軽い提案から、
あっけなく、その身を一介の学生からバイヤーへの身分に変えていってしまう。
その屈託のない軽さや明るさや仲間内の親密さは、ドラックの闇の部分を映画から
かき消しているし、ジョージがマリファナの儲けについてガツッいた部分を出さず常に
「俺たちが儲ければ、他の連中も儲ける」といった分け前を半分にする場面やら、
コカインの売買で大儲けができるチャンスに、コカイン原産地を取り仕切るボスから
ジョージに対し、「仕事仲間を変えなければ、この話は無しだ」ということを匂わされた時も
「俺のパートナーはディエゴ(麻薬密売人仲間)で、パートナーを変える気はない」
とハッキリと告げている場面があり、ジョージ・ユングという人物が、ドラックの売人である
反面で、一個性としては仲間を思う気持ちや温かみのある人柄であることを映画の前半で、
うまく示していると感じた。
ただし、そんな明るい雰囲気をかもしだしている前半にも影の部分があり、
いくら大金持ちになっても、実の母との関係はうまくゆかず、唯一のジョージの
理解者である父も、いつも何処か頼りなげである。しかし映画の中でジョージは
父に対して「理解してくれるのは父だけだ」的なことを言っている。
私から見れば、この父親は甘い顔をしているだけの偽善者にも見えなくはない。
ここらでやんわりと犯罪を咎めるのではなく、ガツン!と言ってやるべきではなかったのか?
決して性格が悪いわけでもないジョージが行っている犯罪を止める力は、この父の言葉以外
ないのに・・と、私などは少々イラつき感を覚えずにはいられない。
映画の後半に入ると、明るさは微塵もなくなっていき、一直線に坂を転がり落ちるように、
ジョージの人生は暗転する。
庇ったはずの売人仲間の裏切り、コカイン所持による逮捕、預けていたはずの
多額の金が銀行の国有化から没収を受け、億万長者から文無しへの生活に早変わりする。
貧乏生活ゆえに妻との罵り合うシーンは、愛しい娘をジョージの幼い時と同じように
悲しい思いをさせていることを表し、ジョージのもどかしさに、私は「あぁ・・だからいわん
こっちゃない」というやりきれない気分を味わった。

もし最後の逮捕の前に、ジョージが家族のために手っとり早く金を稼ごうと
再び麻薬密売に手をださず、地道に働くことを選んでいたのなら、ジョージの人生はずいぶん
大きく変わっただろう。少なくとも、最愛の娘に会えなくなることはなかったはずなのだ・・
観ようによってはただの麻薬密売人の半生、ジョージの自業自得だとも言える。
だが、この映画は自業自得ゆえに喪失したものがあまりに大きいことを最後のシーンで
切実につきつけてくるのだ。
「常に風を背に受け 顔には太陽の光を 運命の風に乗って 星と踊れるように」
観ている間に2回ほどでてくるこの台詞が深く心に残る映画であった。


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コメント 4

こんばんは。この映画大好きです。成り上がり、そして転落といった波乱万丈の人生が魅力的でした。ドラッグがテーマなのもいかにもアメリカっぽくていいですね。それにしても妻役のペネロペには心底ムカつきました(笑)。
by (2006-05-15 23:59) 

のんたん

こんばんは。私はこの映画見たことがありません^^;
のでネタバレの部分は読んでおりません。いつか見たいなと思うから^^
男女の反応が違うんですかー。面白いですねえ。私はどう感じるかなあ。
負け犬っぷりがさすがの演技。。。リバティーンもすごそうですね。
by のんたん (2006-05-16 00:35) 

まなてぃ

katoyasuさん、ナイス&コメントありがとうございます。(^^)
私もこの映画は好きで、実は今度で3度目の鑑賞になります。
物語のテンポもあって無駄がなくて、良い映画ですよね。
確かにジョージの妻には「おいおい、おいしい思いもして、お金も散々
使って、逮捕のきっかけも作っておきながら、お金がなくなったら、ハイさようなら!の典型か・・」と私も思いましたよ。女の沽券にかかわるような役です。まぁ、偏見かもしれませんが、ベネロベには似合いの役だったかなぁ・・以前、映画会で観たときには、ベネロベは演技じゃなくて、地金でやっているんじゃないかと、女は全員一致の感想。(^^;)
女性の目は厳しいっすね。(笑)
by まなてぃ (2006-05-16 21:13) 

まなてぃ

のりたんさん、こんばんは。(^^)/コメントありがとうございます。
男友達は全員、ジョニー・デップのファンではなかったのですが、
「おもしろい いい映画だった」と評判が良かったですよ。
最近のジョニー・デップの負け犬役では、確かに「リバティーン」が
話題になっておりますが、私は物語的には「BLOW」のほうが
お勧めです。あ・・でもジョニー・デップの美しさを観るなら、
「リバティーン」かな。機会があったら「BLOW]観てもらえると
嬉しいですね。
by まなてぃ (2006-05-16 21:36) 

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