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レスラー [映画感想 ら行]

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映画タイトル:レスラー
初公開年月 :2009.06.13
監督:ダーレン・アロノフスキー
脚本:ロバート・シーゲル
出演:ミッキー・ローク マリサ・トメイ エヴァン・レイチェル・ウッド 他
   
■2009.06.18(木) 本日の一言■

さて。
実はこの映画、はっきりいって、私の観る映画の予定には入っていなかった・・のだが、
その昔、ミッキー・ロークのファンだった友人から、久しぶりに映画の誘いを受け
彼女とは久しぶりに会うし、映画のあとにおいしいモノを食べて!お喋りしたいなぁ・・
の誘惑に勝てず、まぁ主婦の彼女であるお財布に合わせてレディースデーに乗じて、
観にいってきた。


まずは、あらすじである。<映画ONLINE参照>

ランディ・ロビンソンは80年代に大活躍したプロレスラー。
しかしそんな栄光も今は昔、それでも彼は老体に鞭打ちながら
小さな地方興行に出場して細々と現役を続ける不器用な男。
ひとたびリングを降りれば、トレーラーハウスに一人で住み、
スーパーマーケットのアルバイトで糊口を凌ぐ孤独な日々。
そんなある日、長年のステロイド常用がたたって心臓発作で倒れたランディは、
ついに引退を余儀なくされる。
プロレスなしの人生など思い描けない彼は、馴染みのママさんストリッパーに
その戸惑いと不安を打ち明け、長らく疎遠となっていた娘とも連絡を取り
修復を図ろうとするのだが…。

以下から、その感想を上げることにする。

※以下からネタバレ必須です。※

観る気がなかった映画だから、鑑賞する前に持つ、
映画に対する私の語りが短い。(^^;;)
だってタイトルからして『レスラー』なんだから。

格闘技系の中でも、もっとも私が興味のない分野である。ついでに!
映画館でこの『レスラー』の予告編が流れた時点で、
私は映画を観る前に物語の結末を勝手に想像していた。

まずこの老体にムチを打って、レスラーを続けている男は、
長年、疎遠になり、なおかつ父(自分)を憎んでいる娘と和解する。

そして彼が行き着けにしているストリップ劇場にいる
やさしいママサンストリッパーと恋を成熟させ、彼はレスラーを続け、
自分の夢に生きつづけ、がっちりと安らぎを与えてくれる女もゲット!。

へぇへぇ。バラ色だね・・ありがちだね。イヤだねぇ。(--川)ウゲウゲ
期待は絶対!しまいと思いながら、映画館のシートに着席し映画は始まり。

30分ほどたつと、アレ・・・・・れれれれれれれれれれれれー(@@)
という声を心の中で上げた。

この映画、ここまで書いた、私の予想を大きくはずし、
バラ色どころか、とても硬派でドキュメンタリータッチに製作されており、
また予告編ほど、お涙頂戴にも作られていないのである。

主人公のプロレスラー、ランディ・ロビンソンを演じるミッキー・ロークに、
80年代に注目をあびた、少々、薄気味の悪いニヤニヤした2枚目ぶりは
まったくなくなり(スミマセン・・でも私は彼について、そう感じていたのですよ。)
完全なプロレスラー体型になってスクリーンに登場し、

すごい体躯だ。・・ミッキー・ロークといわれなければ、 どこぞのレスラーとしか見えない。汗

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映画についやされるシーンのほとんどは、プロレスの生き様(--)である。

リングに上がる前に、レスラーたちは対戦相手と相談し、ショーの段取りが決められ、
いかにして客を盛り上げるか。時には、ショーの最中に隠し持った剃刀の刃で己の額を切り、
流血をワザと作り、試合中でさえ、客に対しては、リングに上る二人は敵同士と強調しながら、
次はどんな技をかけるのか?など、相談している有様を包み隠さず、
これでもかぁ!これでもか!と大きなスクリーンにプロレスシーンを流すのだった。

まぁ・・それは本当に観ていて痛々しく、リングから降りたあとの傷の手当や
そのプロレス体型を維持するために、彼らが日々飲み続けるステロイドやら
得たいのしれない栄養剤に注射。そして筋肉を大きくみせるための日焼けサロン通い。と
生々しく、彼らの実態を剥いでいくのである。

いやはや。ここまで鑑賞して感じることは、
己を犠牲に・・とか、命を縮めて・・とは、このことだ・・ただそれのみだ。

おまけに彼は80年代にスター選手だっただけにすぎないわけで、その収入たるや、
もう苦労のわりには雀の涙!のような金額を手に握らされるだけなのだ。
収入がいいならまだしも!何がよくてこの商売をやるのか、
私には、さっぱり!理解できない。

当然、体は客を盛り上げるためにつけた傷と骨折の古傷。(TT)
長年のステロイドで内臓はボロボロ。(@@)
ついでに、ハードな運動をしているということで、
とうとう・・主人公は心筋梗塞で試合後、ぶっ倒れ

プロレスができなくなるかもしれない。
プロレスの人生を失くすかもしれない・・という彼の恐怖から(と私は感じたのだが・・)

初めて家族、まぁ娘のことを思うわけなのだけれども、


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自分のことを 長年、おなざりにした父親の病を心配する娘(息子でもいいが)は
いないわけで。
で、彼が恋心を抱いているやさしいママサンストリッパーに
娘のことを相談がてら、彼女に告白しちゃったりキスしたりと・・。


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このレスラー、真剣な悩みを抱えているわりには、
それに乗じて、恋する女もモノにしようとする男のズーズーしさも垣間見れ、
いっさい!教訓めいたものが、この映画からは匂ってこないのである。
しかし最近、映画から格好いいセリフをさんざん聞いてきた私にとって、
これは、ものすごく新鮮だったし、
おまけに一瞬、娘との関係が修復できそうな流れを物語は見せるのだが、
結局、この主人公は普段の生活のだらしのなさが災いして、
娘との約束を忘れ、永久に娘からの愛を失うのである。

結局、主人公ランディ・ロビンソンが真摯に向き合うことができるのは
ただひとつ!プロレスのみで、他のことは本当にだらしなく!我慢もきかず、
よくいえば純粋だが、しかし、常に人からの許しばかりを請い、
自分の我は、なんやかんやと通してばかりだ。
「俺は変わるよ・・許してくれ」と映画上でも、この男は、言っているが、
「あんたは変われないよ、しょうもない男だよ」としか、私も言いようがない。

またランディ・ロビンソンが恋をしていた
やさしいママサンストリッパーも、主人公に対する想いが
恋もしくは、愛であると気づいて、彼の元へ向かいはするが、
レスラーとして上がる彼のリングを・・試合を涙目で終わりまで
見つめたり、彼を抱きしめたりという『ロッキー』まがいのシーンを
安易に出してこなかったのも良いし、
(べつに『ロッキー』が悪い映画というわけではないよ。これはこれで好きですが・・)

特に私が脱帽したシーンは、
彼女は恋しいと思ったこの男のレスラーとしての生き様(汗)を見届けることなく、
会場から去ってしまったような演出がされていたことだ。

この映画の登場人物は、
主人公にも、ストリッパーの彼女にも、主人公の娘にも
それぞれに生活があり、思いがあり、悩みも悲しみももっている。

相手のことを思いやれば(これが簡単そうで、難しいのだよ)、
少しはそれらが軽くなるかもしれない・・とわかってはいても
そのために自我を変えたり、覆ったり、曲げたりするということがない。

凄まじいまでに、「個」というものが、映画の終わりまで貫きとおされていて圧倒される。

ここまでくると、彼の選んだ道の結末が、映画に描かれていなくても、
スクリーンを観ていた客の誰もが想像しえるものだと思う。
観客の大半が想像した結末も、主人公が選んだ道であるならば仕方がない。

ただし、主人公の対戦相手のことを思うと、私は胸が痛む。

良いものを観させてもらいました。

観ていない方ぜひに・・と言いたいのですが・・
流血が弱い人、グロイのが苦手な方は、少し厳しいかもしれないので、
そのあたりも考慮して鑑賞できるかたは、ぜひ。(^^)

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まなてぃ

KEIさん、はじめまして。
ご訪問、nice&コメントどうもありがとう。
by まなてぃ (2010-03-30 21:22) 

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