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プレ・ステージ [映画感想 は行]

映画タイトル:プレ・ステージ
初公開年月 :2007/06/09
監督:クリストファー・ノーラン
脚本:クリストファー・ノーラン ジョナサン・ノーラン
出演:ヒュー・ジャックマン クリスチャン・ベイル スカーレット・ヨハンソン 他

■2007.6.14(木) 本日の一言■

先週の土曜日に、かねてから楽しみにしていた『プレステージ』を観にいってきた。
マジシャンを主役に扱う映画は少ないだけに、かなり期待をかけての鑑賞である。
では以下からあらすじと、感想を上げることにする。

さて、あらすじである。<映画ONLINE参照>
19世紀末のロンドン。華麗かつ洗練されたパフォーマンスで魅せる
“グレート・ダントン”ことロバート・アンジャー(ヒュー・ジャックマン)と、
天才的なイマジネーション溢れるトリックメイカー“THE プロフェッサー”こと
アルフレッド・ボーデン(クリスチャン・ベイル)。
このライバル関係にある2人のマジシャンは、互いを尊敬しながらイリュージョンの腕を
競い合っていた。
だがそんなある日、アンジャーの妻が脱出マジックに失敗して命を落とす。
彼女の縄を縛ったのがボーデンだったことから、アンジャーはボーデンへの復讐に執着していく。
そんな中、ボーデンはサラと出会い幸せな家庭を築く。
一方のアンジャーも、美しく優秀なアシスタント、オリヴィアを得て、その華麗なステージは
一層の評判を獲得していくが…。

それでは感想である。
★以降、ネタバレもありますよ★

さて・・先週の公開日に会わせて観にいってきたのだが、どうにも後味の悪い映画である。
この『プレ・ステージ』には2人のマジシャンが登場する。1人は華麗に演出をほどこした
マジックを披露し、大枚な金を儲けた、ロバート・アンジャー(ヒュー・ジャックマン)、
もう1人はトリック製作にも自ら心血を注ぐが、なかなか陽の目をみることができない、
アルフレッド・ボーデン(クリスチャン・ベイル)。この2人はマジシャンの下積み時代、
同じ師匠の元にいた兄弟弟子で、修行中は師匠のマジックの桜、ようは、2人は観客席に座り、
さも観客のような顔をして師匠のマジックの手助けをする役目をになっているであるが、
ある日、ロバートの彼女(これが師匠のアシスタントを担っている)が水中脱出のマジックを
披露している最中に、ロープがほどけず水死してしまい、彼女の手を縛ったのが、
アルフレッドであったがために、ロバートはアルフレッドに対する憎しみを持ち、
アルフレッドもまた、ロバートの憎悪の相手のまま、それぞれにマジシャンのプロへの
道を歩みだすことになる。
こうした2人の主人公を据えて、ライバル同士で火花を散らしあうという映画は、
他にもタイプをかえて、何作かあるものだが、(例えば、『アマデウス』など)
観客は主人公のどちらかに心を奪われるか、もしくは、両方の主人公に同じ感情を重ねて、
物語を追うことになる。そういった場合、2人の主人公の個性は、際立って違うものを
もっているほうが物語は面白くなるのであろうが、しかし、この『プレ・ステージ』の主人公、
2人は、とても性格や気質が似ており、物語の中でネチネチ、グジャグジャと
互いにマジックによる復讐におよぶ復讐の応戦を繰り広げるのである。
出だしは確かに、愛する女を殺されたロバートに復讐の理由があるように思われてならない
のだが、その後、マジックのトリックを使い、客を装ったロバートがアルフレッドの指を
銃で吹っ飛ばし、それで彼を許すのかと思えば、許すはずもなく・・
またアルフレッドも指を撃たれたことは自業自得からきた事件であったとは決して、
納得はせずに、むしろ、あてつけのようにロバートよりも優れたマジックのトリック製作に
取り組み、見せ付けるように公演を行ったり、その中で罵倒しあったりと、まったく2人とも
人生を幸せに生きようとは思わぬのか、手に負えないねぇ、どっちもどっちで、
2人ともマゾかいな・・┐( ̄ヘ ̄)┌ フゥゥ~ と私は呆れるような気分で彼らの所業を
見守った。
また、物語の進行は、各自の主人公に日記などの小道具をもたせ、意図的に
現在起こっている陰謀と過去、そして思い出などをない交ぜにして、鑑賞させ、
観客を煙にまきたがっているようなモノを私は途中から感じずにはいられなかった。
うーん・・これはマジックのトリック自体が凄いものがある映画なのではない。
脚本が、いかに観客を混乱させるか・・にかけているだけなのだ。
特に、ロバートが科学者ニコラ・テスラ(本当にいた発明家だったらしい)に
発注するマジックの道具は、マジックにあらず電気を放電する武器のような代物で
あったのには、苦笑せざる得ない。この兵器?が出てきて、マジックが行われた瞬間、
私はこの映画から引くものを感じた。科学兵器?を登場させるのは、いくらなんでも
反則がすぎるんじゃあないのかなぁ・・・もったいつけて、こんな装置をだすなんて・・。
もう、何がトリックだろうが、この2人のどちらが、勝利をおさめようが、誰が殺されようが、
好きにしてくれ・・やっちゃってください。である。(--)<私はもう冷めました・・
まぁ・・最後に明かされるアルフレッドの、マジックのためになら、指を犠牲にし、
プライベートすらトリックづくしで生きようとするその根性は痛切に味わえるし、
それは大枚の金をはたいて、トリックによってアルフレッドの消滅を企んだ
ロバートにも、根本的にはアルフレッドと似たような犠牲や執念を感じることはできる。
しかしねぇ、たかがマジックよ・・失礼だが、永遠に残るほどの偉業ではないのだ。
一瞬の喝采のためにそこまでする理由が、私にはわからない・・
マジックにとり憑かれた男と、復讐にとり憑かれた男の物語。
2人に用意された結末は、正直にいって、暗くて、やりきれん。
2人とも、もっと前向きに生きることも出来る実力を備えていたのに・・
好きにやっちゃっていいよ・・と映画を観ている途中で思ったわりに、
私は重くるしいモノを抱えながら映画館をあとにした。

次に俳優の感想。

まずは、恋人を殺され、マジックで復讐を果たそうとする、ロバート・アンジャーを演じた
ヒュー・ジャックマン。
私が観た初の汚れ役のヒュー・ジャックマン。高飛車で負けず嫌いで、成功しているのに
復讐にまどわされ、己の策にはまってしまうという、複雑な役を存分に演じて
くれている。見せ場はクリスチャン・ベイルよりも多くて、おいしい役を
頂戴しているな・・という感じだ。
でもやっぱり、顔を見ているとね、今までの良い人というイメージがあって
最後は良い人になってほしかった!(笑)などと思わずにはいられなかった。
次回作にも期待したい。

次、ロバートの仇でありライバルである、アルフレッド・ボーデンを演じた、
クリスチャン・ベイル。
彼の出演している映画は、これが初見である。他のところで、どのような演技を
しているのかは、不明であるけれども、貧乏臭い感じやら、愛情や友情に不器用で
トリック製作、マジックのみに取り憑かれている男の感じは、うまく演じていると思う。
指を落とすシーンは、思わず、こちらが目を閉じてしまいそうになるほどの熱演ぶり。
この人は『バットマン』を演じたとは思えない朴訥とした感じが、今回は上手かった。
次回作は、どんな顔を見せてくれるのか、楽しみである。

最後に映画の全体的な感想を書いておこう。

うぅうむ。なんとも微妙な映画である。
もったいつけた感じが、映画の中につねにあり、なんとか驚愕の結末をみせて
観客を驚かせたい!という匂いが、上映中に充満する作品だ。
これは、トリックといえば、トリックなのかなぁ・・?
ちょっと無理があるようなトリックといえばいいか。
子供まで作った女房やマジックのアシスタントである女性を
そんな簡単に騙しきれるモノだろうか・・
女の観察眼をなめているような気がしてしまった。

結論としては、驚いたよ・・というお客さんと、途中で結末が見えたよ・・
というお客さんに2分される作品である。
驚いたお客さんは楽しめた人。
途中で結末が見えた人は、イマイチと思うだろう。

映画の予告編で、
『目を凝らし みろ、その130分には罠がある、』
といわれたからといって、目を凝らすと、結末は見えてしまうだろう。

マジックに騙されに行くような気分で、この映画は観にゆくことをお薦めする。


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コメント 5

まなてぃ

>Krauseさん、はじめまして、Niceありがとうございます。
by まなてぃ (2007-06-15 18:47) 

こんばんは。期待していたんですけど、ちょっと肩透かしを食らったようなエンディングでしたね。観終わった後に、確かに目を(そして耳を)凝らしていればわかるオチですけど、あまりにも非現実的というか、「それはないやろ~」と突っ込みたくなってしまいました。マリックのTVショーの方が面白い気がしましたね(笑)。
by (2007-06-15 21:20) 

まなてぃ

>katoyasuさんNice&コメントありがとうございました。
あの電撃バリバリ装置や、他のカラクリをみた瞬間、
それはないやろぉおおおおおおおお!と私も絶叫したかったです。
マジックは裏をみちゃいけないですね。もうマジックものを
あつかった映画は、ようすをみてから観に行こうと心にきめましたよ。

マリックやゼロのほうが、本当に観ていて、
断然、楽しいですね。あれは、目をこらしていても
トリックがわからないから。(笑)
by まなてぃ (2007-06-18 00:31) 

まなてぃ

>FuHaさん、Niceどうもありがとう。(^^)
by まなてぃ (2007-06-18 00:32) 

まなてぃ

>noricさんNiceありがとうございました。
by まなてぃ (2007-06-18 00:32) 

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