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ゾディアック [映画感想 さ行]

映画タイトル:ゾディアック
初公開年月 :2007/06/16
監督:デヴィッド・フィンチャー
脚本:ジェームズ・ヴァンダービルト
出演:ジェイク・ギレンホール マーク・ラファロ

■2007.6.17(日) 本日の一言■

昨日公開の『ゾディアック』を公開日に観にいってきた。
これって映画といっていいモノなのか・・という思いが、自分の中に木霊する。
というわけで、あらすじと感想をいってみよう。

あらすじは以下のとおり。<映画ONLINE参照>

1969年7月4日、カリフォルニアでドライブ中の若いカップルが銃撃され女性は絶命した、と
警察に通報が入る。
そしてその通報者は最後に“犯人は俺だ”と言い残していた。
それから約1ヶ月後、サンフランシスコ・クロニクル紙に一通の手紙が届き、7月の事件を含め
2件の殺害を実行したとする声明文が書き記されていた。それは、のちに自らを“ゾディアック”と
名乗る者からの最初の手紙だった。さらに、そこには謎の暗号文も添えられ、それを新聞の一面に
載せなければ大量殺人を決行する、と脅迫してきたのだった。
以来、同紙の記者エイブリーと風刺漫画家グレイスミス(ジェイク・ギレンホール)は、
この一件と暗号解読に並々ならぬ執着をみせ没頭していく。一方、サンフランシスコ市警の
刑事トースキーとアームストロングも取り憑かれたようにゾディアックを追いかけるが…。

それでは感想である。
★以降、ネタバレもありますよ★

さて、何をどう感想をあげればいいというのだろう。ひじょうに困った・・
何故、困っているか・・と聞かれれば、私自身がこの『ゾディアック』を観終えて、
主人公となる3人の誰一人にも、共感がするものが、見つからないからだ。
ならばストーリーで、こういうところが、私はとっても良かったと思った!(^▽^)や
凄かった(^^)v とか、ここが気にいらないな(--)などと、語れば良いかな・・とも思い、
今こうしてPCの前に座り、あれこれストーリーを思い浮かべてみるのだが、
そこでフリーズしてしまうのだ。(--)ウゥウム・・・・
この『ゾディアック』は映画として語るべきストーリーがあるだろうか?
さきに語ったあらすじ、そのままなのだから、感想を語るのが難しい。
この『ゾディアック』にあるのは現実で起こった事件を再現し、それに関わった刑事、
新聞記者、風刺漫画家etcをその当人を出さず、かわりに俳優に語らせた
ドキュメントモノと言っていいだろう。

それでも、映画のはじまりはハラハラした。姿の見えない犯人が、次々と罪もない
一般市民を殺してゆくところは、恐ろしくて本当に身が縮まる思いがした。
しかしその後は、犯人から新聞社へ手紙と共に送られた暗号を解くことに
成功した風刺漫画家のグレイスミス(ジェイク・ギレンホール)の才能が多く語られる
わけでもなく、またあの謎めいた暗号文も実はたいした暗号ではない。と映画の中で
判明してしまうのである。
映画の予告編では、あの暗号文書が随分と重要文書のように取り扱われていたのに、
たいしたことがないなんて詐欺じゃないかぁ!と私は心の中で叫んだが、
画面を流れてゆくのは、いつまでも同じテンポで、ただ警察側の捜査の事実と経過報告、
一向に絞りきれない犯人、その理由などが、刑事や新聞記者を演じる俳優たちによって、
長いセリフと共に永遠と語られるのである。
刑事と警察の捜査の段階で、私はそれらのセリフを一言も漏らすまいと
必死になって、その字幕を読んでいた。しかし警察の長年の捜査がいきづまり、
頓挫してしまうと、次は風刺漫画家であったはずのグレイスミスが、突然、風刺漫画家から
ライターとしての精神をたぎらせて、警察の追った軌跡を再び同じように辿ったときには、
もう、私は正直にいってセリフを読むことにウンザリしてしまい、人物こそ違えど、
やっている事、辿っていることは同じ。何故、この映画は似たようなことを観客へ
繰り返し2度も提示させようとするのか、さっぱり理解ができず、同時進行で話を進める
ことも可能だったのではないか?という、苛立ちを覚えた。
とにかくダラッ!ダラッ!した映画なのだ。2時間30分もかけて語るほどの事では
ないような気がする。

私は映画のストーリーには起承転結が必要だと思うのだが、この『ゾルディアック』は
『起』こそ犯人の殺人が大きく提示はされるのだが、『承』の語りは少なく、
『転』にいたっては、いつまでもダラダラダラダラ・・・・・・・・・・・・ダラと続いて、
ポチッと小さく『結』がつくのである。
こんなにダラダラした映画は、いつ以来?と思うと、オリバー・ストーンの『JFK』かな・・
あの映画も思えば、ジョン・F・ケネディの未解決事件をテーマにした作品であり、
3時間を越えて上映を行い、私を心底、ウンザリさせたのだ。
思えば『ゾディアック』も事実に基づいた事件をテーマにしている映画で、
おまけに未解決事件というところまで、同じである。(><)

エンディングロールが流れてきたときは、正直にいってホッとした。
いつもならば、最後までエンディングロールを眺めてから席をたつのだが、
心底、このまとわりつくようなダラダラにウンザリしてしまい、早く電車に乗って
家に帰ろう・・・(--)という気分に勝てず席を立ってしまった。
映画館を出ると、本当にせいせいした気分になった。
こんなことは、長らく映画をみてきているけれども、ここしばらくは味あわなかった
経験だった。

次に俳優の感想。

まずは、風刺漫画家のグレイスミスを演じたジェイク・ギレンホール。
映画、『ブローク・バック・マウンテン』=これ以降は『BBM』と略する。
の主人公の片割れで、死んでしまう男の役を演じていた人だ。
演技は決して下手ではないのだけれども、どうも『BBM』の印象が強すぎて、
常に頭の片隅に、それが残ってしまい困ってしまった。
もう少しアクの強い役を演じたほうが彼には向いているのかもしれない。

しかしそれにしても、もし私がこの映画の良いところを上げるとするならば、
俳優陣たちの演技力である。刑事役も編集者役も、役者たちが、本当に自然体で
演技をしていて、世間はこういう大多数の目立たない人たちによって、
回っているのだなという感じを出しているところが、とても味わい深い。
特にデイブ・トースキー刑事役を演じた マーク・ラファロという俳優さんは、
本当に自然体で、演技をしているように見えず素晴らしい。彼がでてくると
他の俳優さんたちは演技をしています!いうように観えてしまうのには、
驚きだった。

最後に映画の全体的な感想を書いておこう。

常々、私は現実の事件や事実を元に、映画を起こすというのは、本当に難しいことだなと
思っている。
映画を面白くするために脚色的味付けをほどこすと、映画がクドくなり嘘っぽくなるし、
かといって、事実だけを語ろうとすると、それは現実で日常の一部なので、
あっ!と驚くエンターティメント性はなくなってしまうといっていいだろう。
ついでに書かせてもらうが、この映画にはエンターティメント性はない!(断言!)
ほぼ、ドキュメンタリーであり、おまけに事件が解決していないこと、謎だらけなこと、
また、アメリカで起きた『ゾディアック』という事件が日本ではその名前こそは知っては
いても、遠くの国で起こった事件だけに、この事件に興味をひかれない限りは、
真の恐怖や謎が伝わりにくくもあるだろう。
(まぁ・・最近、日本も治安が凄まじく悪くなってきているので、こういった事件は
他人事ではないような気もするが・・・)
事件の謎にハマれるかどうかが、この映画を面白く鑑賞するか、つまらなくするかの鍵を握って
いるように思う。私は先に述べたように、ハマれる映画ではなかった。

映画ファンでも、玄人好み、ツウ好み、向けの映画だと思う。
過去に起こった事実を有名俳優で観たいかたはどうぞ。

・・・・しかし今回は、本当に感想を書くのが難しかった。
映画への思い入れが、うまく入れなかったぶん・・感想も短めだなぁ・・トホホ(泣)


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コメント 10

まなてぃ

>FuHaさんNiceどうもありがとう。(^^)
by まなてぃ (2007-06-18 00:33) 

のんたん

こんばんは^^
あのー、この写真いいですー。ロバート・ダウニー・jrが出てるのですね。
彼は活躍してたんですかねえ。
この映画は予告編は結構いいのに、実はあまり・・・っぽそうで
まなてぃさんの記事を「なるほど、だからか・・・」と納得したしだいです。
「愛が微笑むとき」って私は単純だからすごく好きなんですけど・・・
まなてぃさん、もし見つかったら見てみてくださいな。
どんな鋭いコメントが登場するか、楽しみです。
by のんたん (2007-06-18 23:24) 

まなてぃ

>こんにちは、のんたんさん。(^^)
こちらにもコメントありがとうございます。
ロバート・ダウニー・jrがでています。
彼の役は新聞社のコラムニストで、主人公のイラストレーターの
グレイスミス(ジェイク・ギレンホール)とゾディアックについて
調査を色々始め、上手くいっていたかと思いきや
思わぬ落とし穴にはまり、人生をフイにしてしまうのですねぇ。
彼も、とても演技がうまかったですね。
メガネをかけた顔がですね、普段のジョニー・デップを
少々、太らせたような顔だなぁ・・と大画面をみながら
シミジミ思ってしまいましたよ。(笑)
『愛が微笑むとき』 レンタル屋で探してみます。
最近、最新映画を観に行くと外してばかりなんですよ。
旧作に戻れってことかなぁ・・・(笑)
by まなてぃ (2007-06-19 18:44) 

まなてぃ

>カウンタックさんNiceありがとうございます。
by まなてぃ (2007-06-19 18:48) 

まなてぃ

>noricさんNiceありがとうございます。(^^)
by まなてぃ (2007-06-19 18:48) 

paraden

実にうまく感想を仰ってるなって、感心しました。
正にそのとおり、後味の悪い映画だったと思います。
事実を扱った映画は必要以上の脚色が出来ない。
例えば、フィクションであれば、リーが犯人じゃなく、
あの地下室のある家の男(何て名前だったか覚えていない)
が犯人で、あの家で殺されそうになる、あるいは
トースキー刑事に助けられるとか、そんな具合に
発展させることは出来ると思いますが、
それもできない。
まあ最初の取っ掛かりはショッキングで良かったんですけどね。
by paraden (2007-06-21 20:57) 

こんばんは。いやあ、長かったですね。あれだけ引っ張って何も解決してないなんて・・・。『JFK』の場合はもちろん未解決事件と知っていたので、それなりの覚悟で映画を観ましたが、こちらは知らなかったので、疲労度大でした。知っていたら、多分観なかったでしょうね~。
by (2007-06-22 00:00) 

まなてぃ

> paradenさん、Nice&コメントありがとうございました。(^^)
とっかかりは、怖かったですね。コレを見て絶対人気のないところで
車を停めることだけはしない!と、私は心に誓いましたもの。(笑)
私も地下室で、ジェイク・ギレンホールと犯人か?と思わせる男の
対決部分は確かに、ハラハラさせられましたが、
ハラハラ・・・・・・・・あれ?あれ?あれ?
逃げておしまいかよぉおおおお!(TT)でしたね。(笑)
やっぱり、映画にするなら、解決された犯罪にしたほうが
いいですねぇ。でないと、オチがつきませんもんねぇ。
by まなてぃ (2007-06-22 21:18) 

まなてぃ

>katoyasuさんNice&コメントありがとうございます。(^^)
いや、もう長くて、本当にイヤになってしまいましたね。
1度目の刑事と警察の捜査だけで、もう充分でした。
ジェイク・ギレンホールの捜査は、いらないですよ。
いっそのこと、刑事の視点で全て語ったほうが
簡潔でおもしろいモノができたように思いましたね。
もう、解決されていない犯罪モノは見ないようにしようと、(笑)
心に決めましたね。予告編に騙されたような映画で
本当に参りました。(TT)
by まなてぃ (2007-06-22 21:20) 

まなてぃ

>DSilberlingさんNiceありがとうございます。(^^)
by まなてぃ (2007-06-24 13:53) 

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