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墨攻 [映画感想 は行]

The Making of 墨攻

The Making of 墨攻

  • 出版社/メーカー: レントラックジャパン
  • 発売日: 2007/01/19
  • メディア: DVD

映画タイトル:墨攻
初公開年月 :2007/02/03
監督:ジェィコブ・チャン
脚本:ジェィコブ・チャン
出演:アンディ・ラウ  アン・ソンギ  ワン・チーウェン 他
   
■2007.2.4(日) 本日の一言■

なんだか、牛のヨダレのようなダーラ!ダーラ!した忙しさに飲み込まれ・・
では憂さ晴らし!に映画もDVDもなんだか観る時間がとれない、約2週間!(TT)
映画は明日への活力の源の1つ・・
新作・旧作とわず映画が観れないと、il||li _| ̄|○ トホホ・・ナンダカ・・カラダニ チカラ ガ デナイ・・
しかし!これでは・・いかん!く( ̄△ ̄)ノと・・ 自分に渇!をいれるために・・ 
かねがね楽しみにしていたアンディ・ラウ主演の『墨攻』を観にいってきた。
♪(* ̄ー ̄)v<フフフフ家事は日曜日・・出来なかったら、来週に繰り越しちゃうもんねぇ!

---あらすじは映画ON LINE より---

紀元前370年頃の戦国時代、攻撃をせずに守り抜く“非攻”を信念とする集団
“墨家”がいた。
その頃、大国・趙が送り込んだ猛将・巷淹中率いる10万の大軍を前に、
全住民わずか4千人の梁城は落城寸前の危機に瀕していた。
梁王は墨家に援軍を求めるが、やって来たのは粗末な身なりの革離(アンディ・ラウ)
ただ1人。革離は王に1ヵ月持ちこたえれば趙軍は撤退するはずと説明、
兵に関する全権を与えられると、さっそく城を守る準備に取りかかる。
そして趙軍の猛攻が始まるや、墨家の秘策を次々と繰り出し凌ぎ続ける革離。
しかし、この圧倒的な大軍を相手に、革離は本当に最後まで城と民を守り抜くことが
出来るのか、前代未聞の戦いは緊迫の度を増していく…。

次に感想である。
★以降、ネタバレするところもありますよ★

中・日・香・韓合作の『墨攻』。約2時間15分の映画であるが、長編となる原作の
どの部分を削り、どの部分を映画に挿入するかは、非常に難しいところだと思う。が、
この映画は大国・趙が梁城(村民を合わせても4000人ほどの城)を地の利のよさから、
戦いをしかけてくる序章と墨家の思想などを手短にまとめて、なかなか良い
滑り出しを観せてくれる。映画の前半は王に請われて墨家からやってきた
革離(かくり/アンディ・ラウ)が、梁城に入城したのち、戦う気力をもたず既に
全面降伏を説く王とその側近たちを説得し、革離に少々の反感をもつ王子の心を
いかにして掴んだかが、事細かに演技で語られ、その隙間をぬうように
守るための戦闘に必要な知恵が次々と紹介され、私はこうした「実は裏はこうなって
いるのです・・」というカラクリを観たりするのが好きだったので、なるほどねぇ。
と楽しく鑑賞したのであるが、後ろに座っていたお客、カップルで男のほうは
早々にドンパチとやってくれることを期待していたのか・・「早く戦えよ」と文句を
言っていた。(^^;;)(笑)
しかしこの映画は、大掛かりなドンパチだけを楽しみにしていると
少々期待外れな作品になるかもしれない。
もちろん!戦闘シーンは映画の中盤にふんだんに盛り込まれ、多くの兵士や馬が、
大画面に並んだ姿は、まことに見ごたえ十分であったし、またその裏で
大多数の1人にしか数えられない、大国・趙の兵と梁城に住む兵や
村民たちの戦いと死がきっちりと描かれていることも好感がもてる。
だが、中盤の戦闘シーンは妙に火が城にかけられることが多く、火かけの初めこそは
おぉおお!という目新しさに唸るモノがあるのだが、だーんだんと粗が目立ってくるのは、
悲しかった。(--)例えば趙の兵が、城内奥深く入り込んだ挙句、油をかけられ
火責めにあうシーンがあるのだが、たぶん火のあるふりをエキストラにさせて、その上から
CGをかけて火責めにあっているように見せているのだろう。だがっ!だがである!
とにかくエキストラの演技が酷いのと、CGの火の処理の仕方が「まぁこんなもんでしょう」
という感じなので、兵士たちが火の中でもがき苦しむシーンであるはずなのに、
大画面から私に伝わってくるのは、安っぽい火の中で兵士が雨乞いのダンスをしてますか?
というモノにしか観えないのだ。(; ̄ー ̄A アセアセ・・・
以前にも韓国映画『シュリ』の感想でも書いたことがあるのだが、アジア映画のCGの処理は
まだまだハリウッドには遠く及ばない。(TT)
アジア人としては、もっと力を入れて、私を感嘆させて欲しかった。
「おおぉ!凄いCGだ!」と言わしめて欲しかった。(--;;)
ちょっと感想の視点が横道にいったので、物語の感想へと戻そう。(笑)
こうして戦闘は兵力の数でも有利とされいた大国・趙よりも4000人の小国、
梁城が優勢となり村人たちが喜ぶことこの上なく、物語の後半では、革離も任務を果たし
良かったと・・めでたしめでたし・・で、いるのかと思えば、そう話は簡単には
すまないようである。
おそらく、中盤の終わりから後半にかけてが、この映画のメインテーマなのだと思う。
城は守りぬけても、城の中は敗れていった敵兵士の屍と村人の死体が積みあがり、
墨家の思想である「攻撃をせずに守り抜く」も裏をよく見てみれば、攻撃であることに
革離は気づき、苦悩するようになるのである。私のような凡人から見れば、革離は頭が
おそろしく切れて、賢者であるにもかかわらず今更そんなことに気づいて苦悩するのは
遅いのでは・・( ̄ー ̄)フッ という気がしないでもない。革離に思いをよせる女剣士が
その姿を見かねて身を寄せ愛を告白しても、せっかくの据え膳を蹴ってしまったり、
まことに動かぬストイックさには頭が下がるばかりであるのだが、その反面で、
「まどろっこしいなぁ・・お互い好きなら、さっさと一緒になってしまえばいいのになぁ・・」と
私は焦れること、この上ない。いっそ出来るのであるなら、私はスクリーンに乗り込んで
革離の背中を思いっきり突き飛ばし!「女が告白してんだぞぉ、応えてやんなよ・・
あんただって嫌いじゃないんでしょ?まったく本当にじれったいよ!」とおばさんモードを
全開にして叫びたいくらいであった。根本的に私は戦争モノやアクションモノで、
男と女が出来上がってしまう図式があまり好きでなかったりするのだが、こうも焦れ焦れと
やられるのも、またそれはそれでイライラするのだ。( ̄Θ ̄;) ムゥー
また革離と女剣士との恋愛模様とは別に、革離と知力を戦わせたアン・ソンギが演じる
敵方の将、巷淹中(こうえんちゅう)の、このまま終わりたくはない、一矢報いたいという
戦略もみどころの1つであり、この敵の将があまりに軍師らしく、賢く、人間として
好感の持てる人物だったので、つい応援したくなるジレンマを味わった。(笑)
いやはや・・中国史というのは本当に困った側面をもっている。
応援したいのは、もちろん革離であり、梁城でなくてはならないのだが、
革離が軍師を引き受け守ると決めた城の主、梁王(ワン・チーウェン)が、酒に溺れた
猜疑心丸出しの、どうしようもない王となってくると、火に囲まれ絶命する
敵方の将、巷淹中に大きく心は傾いてしまう。梁王の息子の最期(革離をかくまい絶命)や
巷淹中の戦死を思えば、革離は命を拾い梁城から無事脱出できたことの、ありがたさを
噛みしめるべきなのかもしれない。たとえ女剣士を亡くしたとしてもだ。
この戦いの5年後、梁城は梁王の悪政が原因で滅ぶことになるというキャプチャーが
エンディングに流れる。たった5年しかもたなかったのか・・・と、私は絶句した。
5年しかもたなかったのならば、趙と梁城の戦いに意味があったのか?と
思わずにはいられない。
映画全体はストイックであるのにもかかわらずエンディングはなんとも言えない
苦い終わりが用意されている。
だが、しかし・・この苦さは歴史モノにはつきものであり、思わぬ展開がまっているからこそ、
中国史を知ること、観ること、味わうことが、やめられなくなってゆくのだ。
この苦さ!を味わいつくしてやるぞっ!( ̄▽+ ̄*)ホーッホッホッホッ♪ 
心の中で高笑いをしながら、私は気分よく映画館を後にさせてもらった。

次に俳優の感想である。

主役の革離を演じていたアンディ・ラウ。
ちょっと映画の感想から離れて思い出話になるのだが・・・(^^)ゞポリポリ
彼がアイドルのように香港でデビューをした頃、友人が彼の大ファンで
日本語字幕のない!香港映画(アンディ・ラウが主演していた)を 
どこでどうやって手にいれてくるのか、持っており、そして私が映画好きという
ことを知ると「遊びにこない?映画もいっぱいあるよ」と言っては、私を呼び出し
彼の出演する映画をビデオで何度か観さされたことがあった。(><) 
その時のアンディ・ラウの演技に関して私がもった感想といえば・・
えらい油がのりまくった・・大トロのような演技をする俳優だな・・(--;;)
友情のためハッキリは言えんが、あまり好みじゃない・・というのが本音だった。
しかし時が流れ・・『インファナル・アフェア』が公開された頃、再び彼女から
「いい映画なんだよ!私、観に行くのは2回目になるんだけれど凄くいいからっ!
あんたもハマれるストーリーだから一緒に行こうよぉお」と誘われ、
「大トロのアンディ・ラウかぁ・・まぁいいか、たまには香港映画も・・」(^^;;)
と、観にゆき、散々「大トロ演技のアンディ・ラウ」と言っていた舌の根もかわかぬ
うちに私はラウ落ちした。o( ̄ー ̄;)ゞ<フフフ・・今更、友人には言えない内緒の話ダヨ・・
あの映画を境に、彼は濃い演技から脱却できるようになったのか、こうなんというか・・
大トロをしゃぶしゃぶ し、ちょっとの油ノリで、風味があっておいしいというような
演技に変化したような気がする。
今回のこの『墨攻』の革離についても、力を抜く部分、力を入れる部分、
目力をいれたり、脱力した目線を投げたりしながら、墨家の教えを守り、ある意味
ストイックに生きてゆこうとする革離を好演している。
若い頃のエンジン全開ぶりの演技では、この役は演じきれなかっただろう。
歳を重ねて、格好よくなったなぁあ。( ̄ー ̄)ククククッ 次回作も期待したい。

次、敵方の将、巷淹中(こうえんちゅう)を演じたアン・ソンギ。
いぶし銀の演技で、『墨攻』を支えた助演男優は、このアン・ソンギといっても
過言ではないと思う。役に自然にとけこみ甲冑姿もさまになっていた。
無理のない自然体の演技・・ベテランの味を堪能させてもらいました。

次、梁王を演じたワン・チーウェン。
悪役あっての物語であるので、この梁王は重要な役回りである。
活躍が見え出すのは後半に入ってからであるけれど、本当に憎憎しげに
演じてくれて、スクリーンにむかって「こんな王はクタバッテしまえ!」と
何度も心の中で叫ばせてもらった。(笑)たいへんにウマイ演技である。
しかし、それにつけても彼の年齢がさして私と変わらないことが
『墨攻』のHPにでかけて判明した。
ショック!だった。( ̄□||||!!
もうとうにお姫様、小娘の年齢には遠くなってしまったけれど、
何も悪王・・それもこんな・・おじさんと年齢が近いなんて・・・トホホである。

では最後に映画の全体的な感想。

中国史を題材にしている物語で、一番、有名なモノといえば『三国志』であり、
この小説は、たいへん多くの日本人を虜にした。(例外に漏れず私も、この物語の虜だった)
この『墨攻』は、『三国志』よりも更に500年くらい昔の紀元前の中国が舞台なのであるが、
中国の歴史モノというのは、やはり面白い。映画にしても面白い。(^^)v
なぜに・・面白いかというと、それは人間の匂いが、どこそこにも充満しているからだと思う。
危機から脱出するための知恵、その中にあって一致団結しきれない人間模様、そして
知恵により危機からの脱出はするが、めでたしめでたしに収まりきれず、猜疑心や嫉妬に
かられて、せっかく手にいれた平穏な時間を潰しては、再び起こる大掛かりな争い、
その中に垣間見える情や業に心を奪われて、再び読者や観客は物語の中に引きずり
こまれてゆくのだろう。
この『墨攻』の原作本となる漫画は、その戦闘や人間模様のドロドロさがもっと色濃く
はっきりと出ており(漫画喫茶で読んだ)、映画はわりと軽めに描かれていたようにも感じる。
しかし、あまり戦闘の残忍ぶりばかりが、目立ってしまう作品にしなかったのは正解だ。
火攻めのシーンこそはいただけなかったが(ここで再びしつこく言う(^^;;) 映像が凄惨を
極めては、気分が悪くなるばかりで映画としては、いかがかな・・という気も私はするのだ。
映画は原作である長編をうまくまとめており、軍師としての悲哀や、思想と現実のギャップに
苦しむ革離の姿もよく描けている。ただし革離が集団に背き、梁を助けにきた経緯について
もう少し丁寧に映画にいれたほうが主人公に対する思い入れは、もっと深くなったように思う。

墨家という思想に生き、実戦を経験した末に、若き軍師が得たものは・・
観客は孤児たちに囲まれ、城をあとにする革離の姿を静かに見守ることになる。
気がつけば、中国の歴史物を好きになる入り口に立てるような・・
そんなお薦めな映画である。(^-^)


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コメント 6

まなてぃ

>noricさんNiceありがとうございました。(^^)
by まなてぃ (2007-02-06 17:31) 

まなてぃ

>カウンタックさんNiceありがとうございました。(^^)
by まなてぃ (2007-02-06 17:31) 

のんたん

こんにちは^^
アンディ、かっこよかったでしょう??
私はやっぱり中国語はほとんど理解してなかったことが判明しました。
まなてぃさんの記事を読んで、なるほどぉ・・・・!と再度理解しました。
はは、ありがとうございます♪
私もアンディとあの女性の恋模様はじれったかったっすねえ。
あれ、いらないと思ったもん・・・そして憎々しい梁王、最高でした。
やっぱり日本語字幕で見るに限るなあ・・・くすん。
by のんたん (2007-02-06 18:45) 

まなてぃ

>のんたんさん。こんばんは。
コメントどうもありがとございます。(^^)

アンディ・・格好よかったですねぇ。( ̄ー ̄)フフフフ
悲しい物語なのに・・姿が見れて嬉しい・・という
1粒で2つの感動を味わいましたね。
私も実は、革離と女剣士の恋模様はいらんなぁ・・と思いました。
(半分、私の嫉妬も入っているか??(笑))・・・がっ!
私の後ろに座っていたのカップル、男のほうは上映終了後、
「女剣士!可愛かったな」とボソリといっていて、
彼女に呆れられていましたねぇ。(^^;;)

>やっぱり日本語字幕で見るに限るなあ・・・くすん。

仕事場の上司たちが、そのうちネット配信で映画は
バンバン観れる時代がくるとか・・いってたことを
フト思い出しました。(それは私もすごく!願望してること・・)
近々、どこの国にいても『墨攻』 日本語字幕つき、が
観れるように、きっと なりますよぉ!
by まなてぃ (2007-02-06 21:45) 

naonao

こんばんは。すばらしいレビューですね。私も見ましたが良い映画でしたね!!
ところでビリーが14年ぶりに新曲発表しました。ブログ記事にしましたのでよかったら遊びに来てくださーい。
by naonao (2007-02-08 22:18) 

まなてぃ

>naonaoさん、こんばんは。Nice&コメントありがとうございます。
楽しい映画、良い映画に出会えると、本当に嬉しくなりますね。
『墨攻』は自分の中では久しぶりのヒット作でした。(^^)v

ビリー・ジョエルが14年ぶりに新作ですかっ??
14年前・・トホホ・・若さは別にして
あの頃の体力が私は欲しい!!
by まなてぃ (2007-02-09 20:16) 

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