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ミリオンダラー・ベイビー [映画感想 ま行]

ミリオンダラー・ベイビー

ミリオンダラー・ベイビー

  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • 発売日: 2005/10/28
  • メディア: DVD



映画タイトル:ミリオンダラー・ベイビー 
初公開年月 : 2005/01/15
監督: クリント・イーストウッド
脚本: ポール・ハギス
出演: クリント・イーストウッド ヒラリー・スワンク モーガン・フリーマン他
   

■2006.6.30(金) 本日の一言■

最近、心温まる映画を観続けていたので、
重めの映画と噂の高い「ミリオダラー・ベイビー」を
昨日はレンタル屋から借りて観た。初の鑑賞である。

あらすじは、以下のような感じである。
ボクシング・ジムを営む老トレーナー、フランキー(クリント・イーストウッド)。
彼は毎日、教会に通い疎遠になっている娘の無事と再会を神に祈り、娘への手紙を
書いて送るが、手紙は封も開けられずに返信されてくる。またトレーナーとしての
指導力は定評があるのだが、選手をベスト状態で試合に臨ませよう、大切に育てて
いこうという意思がまさってしまい、8年をかけて育てた優秀なボクサーは彼のもとから、
「成功」を匂わすトレーナーに変えると言って去られてしまう。
ある日、女性マギー(ヒラリー・スワンク)が31歳という年齢であるにもかかわらず、
ジムの門を叩き、フランキーに弟子入りを志願してきた。
子供の頃から現在にいたるまで不遇の人生を送ってきた彼女は、続けてきたボクシングで
全ての人生の建て直しをはかろうと考えていた。
しかしマギーの必死な願いも、頑固なフランキーは受け入れず追い返そうとする。
それでも諦めずジムに通い、ひとり黙々と練習を続けるマギーの才能に気づいたのは、
フランキーの友人で、ジムの清掃をしているスクラップ(モーガン・フリーマン)だった。
スクラップはマギーに声をかけ、練習に必要な道具をわたして、彼女の夢に力を貸す、
やがてマギーがフランキーの弟子入りを希望して1年が経ち、マギーの執念に負けた
フランキーはトレーナーを引き受けることにするのだが…。

さて感想である。
★以降、ネタバレしていきますよ★

この映画は、前半はサクセスストーリー、後半は尊厳死がテーマで、
ある意味1回で2度のテーマに出会うことのできる映画だと思う。
しかし とにかく内容がヘビー級に重い!(@@)
よって2時間ちょいの上映時間にもかかわらず、物語の内容が濃いので感想は
前半、中盤、後半とわけて、書くことにした。

まず前半は、幾つになろうが諦めず、ボクシングと共に日々を生きてゆこうとする
マギーの前向きな意思、スクラップの小さな思いやり、そしてマギーとフランキーが
共に信頼しあい練習を重ね、成功の階段を確実に一歩ずつ上がる試合運びなどが、テンポよく
画面を流れてゆき 評判で聞くこの映画の待つ暗さをすっかり忘れて、私は楽しく画面を観た。
前半が一番、観ていて良かったかな・・今、思えばここで観るのを止めてしまえば、
こうも重い気持ちにはならずに済んだだろうに・・。

マギーの成功が観えてくるに中盤になるにしたがって、徐々にマギーの人生で抱えている
ものが見えてくる。彼女にはボクシングでの成功はあっても、家族的な幸福には、少しも
恵まれないのである。現実に彼女の家族にあったなら、吐き気を覚えるような母と妹である。
後半になって出てくる妹のダンナもゾッとするような男だ。
マギーとこの家族についてのシーンは、映画の終わりよりも、そのやりきれなさに
私は不覚にも、涙が出てしまった。こうして、マギーとフランキーは、家族はいても、
絆がないという、似たような境遇にあり、二人が親子にも似た絆を結ぶのも当然の成り行きの
ように納得させられ、うまく描かれていると思った。

そして後半である、この映画の後半は、中盤のやりきれなさが絶望に転じていく、
ただそれだけである。マギーは試合によって首の頚椎をいためて首から下は完全麻痺、
呼吸を機械に助けられながら、意識だけは、はっきりとあり「死んでしまいたい」と
誰もが思う状態に落とされる。私もきっと、そう思うだろう。
このような状態になり、死にたいと一度も思わぬ者など1%もいるだろうか?
稀にそういった人たちの中にも、希望を見出し生きることを止めない人もいるが、少ないと
思う。それでも病院と医学の進歩は、当人の気持ちを無視し生かせることを黙認して
強制し、結果、マギーは「殺してくれ」とフランキーに頼むのだ。
あぁ・・としか申し上げようがなく、手も足も出ないとはこのことだ。こうやって後半を
思い返し、感想を書いているだけで、心は消沈し、飲みきれない苦い薬を口にいれ、かと
いって吐き出すこともできず途方に暮れている感じがする。
最後、フランキーはマギーに手をかけ、彼女の希望通り最期を迎えさせ、映画は終わるのだ。
受け手がわの私は、どう感想を言えばいいのか言葉が見みつからなくなっている。
フランキーの行動を責めろというのか?納得しろというのか?フランキーの立場が私であったら、
私はどういった行動をとったのか?逆にマギーの立場だったなら?私はどうするのか?
ここで再び「あぁ・・」と深く呼吸をつき、情けないことに目を閉じるしか、私にはできなかった。
出口がわからなくなったようなと言えばいいだろうか、完全な思考停止状態の場所へと
連れて行かれたような気さえするのだった。

さて次に俳優たちの感想を書いておく。

まずはフランキーを演じたクリント・イーストウッド。
私にとって彼は「ダーティーハリー」というイメージが、いつまでたっても抜けない。
父が好きでこの映画をよく共に観た。その後、様々な映画で彼を観たが、役どころが
変わっても、演技は少しも変わらず、ある意味、演技のキャパは広くはないのだと思う。
しかし、文句をいう気になれないのが、彼の不思議な魅力である。いぶし銀のような
同じでありながら飽きない人柄?なのか・・本人もよく自分の個性をわかっているようで
今回のこの役どころは、イーストウッドのハマリ役である。

次にマギーを演じたヒラリー・スワンク。
役のために身体を鍛えたという話は聞いていたが、本当にボクサーらしい身体つきに
なっていたのには脱帽である。ボクシングシーンも作り物というようには見えない
体当たりの演技である。悲しみをこらえてクシャリと笑うところは愛らしい。
不器用な女性という役どころを見事にとらえて演じていて好感がもてた。

次にマギーを影で支えるクラップを演じたモーガン・フリーマン。
口が悪くて、どこか悟っていて、常に観る側の心に残る、親切な人間の役である。
うまかったですよ。彼の十八番ともいえる役柄だったと思う。でもアカデミー助演
男優賞を取るほど群をぬくほどの出来栄えだったかというと、少し疑問のような
感じもした。無難な出来栄えだったのではないだろうか。

では最後に全体的な感想を書いておこうか。
この映画は、人生の喜びと絶望の両方を感じることができる映画だと思う。
物語は緻密によく作られ、ダレる感じもなく、俳優人も その個性にあった
的確な役をもらって確実な演技も披露してくれている。2005年に開催された
映画の賞を数々の受賞したと聞くが、それに値する映画であると納得はいく。
しかし、観ていて特に物語の後半は、本当にしんどかったし、やるせなかったし
苦しかった。今でも、その居心地の悪い余韻は続いている。
一度は観ても良いとは思う。だが私はもう一度この映画を観たいですか?と
尋ねられて、Yesとは言わない。それほど投げかけられた問題は いつまでも重く
自分に残る映画である。
あぁ・・覚悟をして観たのに修行が足りない・・本当に参りました。((((_ _|||))))ドヨーン


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のんたん

この映画、いい映画なのだろうと思うけど、絶対見ないに違いない!
と思ったので、ネタバレ部分もしっかり読ませていただきました。
やっぱり・・・ミスティック・リバーも何かそういう匂いがして見てません。
とても辛くて重くて苦しくて、いつまでも胃に残りそうな感じがします。
そういえばボーイズ・ドント・クライも見てないなあ・・・
by のんたん (2006-07-07 00:55) 

まなてぃ

のんたんさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
この映画は本当に重い映画でした。3日間くらいドローン!(@@)
という気分になりましたね。
私も実は、ミスティック・リバーを観たことはありません。
ボーイズ・ドント・クライも観たことがないんですよ。
当分、イーストウッド監督の映画は、いいかなぁ・・・(笑)
やっぱり映画は楽しく!感動できないとダメ!だ。と
つくづく思いましたよ。
by まなてぃ (2006-07-08 02:26) 

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