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Dr.パルナサスの鏡 [映画感想 た行]

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映画タイトル:Dr.パルナサスの鏡
初公開年月 :2010/01/23
監督:テリー・ギリアム
脚本:テリー・ギリアム クリストファー・プラマー
出演:ヒース・レジャー  ジョニー・デップ コリン・ファレル
ジュード・ロウ リリー・コール トム・ウェイツ 他


あらすじ<映画ONLINE参照>

2007年、ロンドン。パルナサス博士率いる旅芸人一座がやって来る。
出し物は、心の中の欲望を鏡の向こうの世界に創り出す摩訶不思議な装置“イマジナリウム”。
しかし、怪しげな装置に誰も興味を示さない。
そんな中、何かに怯えているパルナサス博士。
彼は、かつて悪魔のMr.ニックと契約を交わし、不死と若さを得る代わりに
生まれてくる娘が16歳になったらMr.ニックに差し出すと約束してしまったのだ。
そして、その期限である娘ヴァレンティナの16歳の誕生日が目前に迫っていた。
一方、何も知らないヴァレンティナは、偶然救い出した記憶喪失の男トニーに心奪われる。
トニーは一座に加わり、彼の魅力で女性客が増え始めるが…。

※以下からネタバレ必須です。※

■2010.01.24(日) 本日の一言■

本日のお題は、亡きヒース・レジャーのホントに最後になってしまった新作、
『Dr.パルナサスの鏡』である。

私は彼の大ファン!というのとは、違うけれども、
彼が死んでしまったのは、もったいない!そして早すぎる!という、
気持ちが、強くあるなぁ。

自然な演技・・という点で、彼は最高だった。

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とくに『ブローグバック・マウンテン』では、難役にもかかわらず、
本当に素晴らしい演技を披露してくれた。
もちろん『ダーク・ナイト』のジョーカー役の怪演ぶりも記憶に新しい。

ダークナイトの感想は右記に→http://ma7tee.blog.so-net.ne.jp/2009-08-17

しかし、この最後の映画の監督はテリー・ギリアム。
私はテリー・ギリアムかぁ・・(--)フゥ・・と、ため息なのだ。
彼は映画ファンの間では、けっこう評価が高かったり人気がある。
たとえば『モンティ・パイソン』とか・・ね( ̄  ̄)b゙ネッ!!

しかし、根っこがミーハーで出来ている私は、彼の作る笑いの奥の深さが理解できず、
友人(モンティ・パイソンのファン)と共にDVDを観た事があるけれども、
その面白さが、さっぱりわからなかった。(^^;)
案の定、心ここにあらず(゚-゚;)になり、早くおわんないかなぁ・・のまま、
『モンティ・パイソン』を観終えたのである。

それゆえに今回も観にいくか・・行かぬか・・でけっこう迷ったのだけれども、
突然の訃報、亡きヒース・レジャーの演じるトニー役のあとをついだのが、
ジョニー・デップ、ジュウド・ロウ、ついでにコリン・ファレルと、
私のミーハー心を刺激してくれる俳優人たち。

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皆さん、興味をそそられまへん?私は興味がありますがな。
ヒースのあとを継いで、トニーという同役をどんな風に演じるのか・・とかね。

というわけで、久しぶりに前置きが長くなりました。がぁ・・
観にいってきました。以下からがレビューとなります。

さて。
このDr.パルナサスの鏡という映画を私の言葉で一言いうならば

ようこそぉ!テリー・ギリアムの不思議な世界へ。ヾ(*ΦωΦ)ノヒャッホウ! である。

話の そもそもの発端は、写真左:パルナサス博士が、右:悪魔のMr.ニックとカケをして、
その時はカケに勝利し彼は不死、つまり永遠の命を望み、それを得た。

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その後、パルナサス博士は、とある女性に恋をした。彼は若返りを悪魔に望み、
引き換えに生まれてくる娘が16歳になったとき、悪魔にくれてやる契約をした。
(随分と身勝手な契約をしたもんだ・・(--)と感じざるえない。)
映画は、もうすぐその期日が数日に近づいた時から始まる。
とうぜん父は、娘を悪魔にくれてやることを望んではいないし、この日を恐れている。

で、悪魔にくれてやる約束をした娘が、ヴァレンティナである。(フランス人形系美人でしたね。)

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彼女は父であるパルナサス博士率いる旅芸人一座であることが、厭でたまらない。
幸せな結婚をし、一箇所に定住しお金に困らない暮らしを望んでいる。

で、この旅芸人一座には小人の執事パーシー(ヴァーン・J・トロイヤー )。

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あともう一人、Dr.パルナサスの鏡の魔力に引かれ続けて一座にいるような若者、
アントン(アンドリュー・ガーフィールド )がいる。

そこへ犯罪の香り漂う記憶喪失の男、トニー(ヒース・レジャー)が一座に加わるのである。
娘ヴァレンティナは新顔に興味津々だ。

しかし、この映画は、

■ トニー以外の団員が、いかなる理由でDr.パルナサス一座にいるのか?
■ どのような過去をもち、この一座に入ることになったのか・・、
■ そもそも人間の欲望を映し出すという、不思議な鏡はどこからきたのか?
■ Dr.パルナサスという人物は悪魔と知り合う前は、いったい何者であったのか?
■ 突然、現れるトニーと悪魔が知り合うきっかけは、いかなるものだったのか?

というようなものが、はっきり提示されないまま、物語は進む。
この映画は、本当に驚くほどに、人と人の関わりの語りが希薄だ。

私の中では彼の作品を観るのは4本目であるけれども
(なんやかんや・・と彼の作品を観てることに、今調べていて気付いた。(汗))
4本目にして感じたことは、たぶんテリー・ギリアム監督という人は、人間関係を
描くことが好きではなく、この世にありえない不思議な世界を描くことに、
集中したいタイプなのかもしれない。と、私は思いがいたった。

だからDr.パルナサスの娘ヴァレンティナとトニーが恋に落ちるくだりも、あっさり!しているし、
突然、元犯罪者トニーがヴァレンティナのために?己から欲望うずまく鏡の中に入り、
鏡の中で、悪魔が準備する欲望に打ち勝とう!
(打ち勝てばヴァレンティナを救える)という気を起こすのかも・・語られないから、
こうシックリと自分の中で物語として消化しきれず、
なかなか登場人物たちと同化して、彼らを応援するような感じにはいかない。

そして多分、テリー・ギリアム監督が嬉々として作ったであろう、
鏡の中で起こる、次々とくりだされる不思議な風景は、当然、起承転結もなく、
意味もない・・行き当たりばったり・・な自分が眠ってみる夢のようなモノたちが繰り出され、
目を覚ましながら、スクリーンを通して夢を観ている・・という感じだ。

夢のような、緑あふれる美しい世界。
思い通りになるようで、ならない夢の世界。
え!どうして彼らは不思議な目にあわねばならないのか?
え!どうして、君があなたが、ここに突然 登場するの?

それは全てあなたが見ている夢と同じ世界だから、それにケチをつけたり、
わざわざ理由をつけようとしても意味がない。

だから物語のストーリーを深く追うよりは、
次々あらわれる不思議の映像世界を体感してくださーい!と言われたら、
素直にハーイ!体感しまーす!といった気分で、物語よりも映像を観て、
味わう人のほうが、この映画は楽しめるような気がする。

またヒースが亡くなったあと、彼のあとを引き継いでトニーを演じた俳優たちは
(ジョニー・デップ、ジュウド・ロウ、そしてコリン・ファレルだが)
どのような役割を演じているかといえば、

欲望の鏡の世界に入るとトニーは、共に鏡の中へと入った相手の欲望のままに、
彼は姿や顔、声までも変身させるを可能にできるのだそうだ。
こういった設定を作り、ジョニー・デップ、ジュウド・ロウ、そしてコリン・ファレルが
変身したトニーの役を演じるのである。

各自がおのおのの、善人ではないが、憎めない悪の匂いをさせたトニーを演じた。

しかしジョニー・デップ観たさで、この映画を観にきたお客さんは激怒モノだろう。
彼はほとんど映画にでてこないし、コレといった大きな活躍もしない。

ジュウド・ロウなんかは、3人の中でも不思議な世界が一番似合いそうな俳優なのに、
こちらもそれほど大きな活躍はしない。

一番出番が多いのは、コリン・ファレルで、鏡の中で大活躍だったし、ずる賢さが満載だ。
映画を観る前までは、えーーー!コリン・ファレルがヒースの代わり?似合わなーい!(--#)
と思ったけれども、意外にも好演していたので、ビックリ!(◎◎)

けれども、こうしたハリウッドスターたちを3名も投入し、
映画の中で、さんざん大騒ぎの演技をさせておきながら、
娘、ヴァレンティナを悪魔の契約から救うのはトニー(彼ら)ではなく、
結果的には彼女自身であったことは、意外性があって、けっこう私は驚きだった。

つまり王道的なストーリー展開は、この映画はやらない・・ということだ。
いやはや・・物語がありそうで、なさそうで、不思議な世界に食傷気味になったりもするが、
それでいて、己を救えるのは己だけ・・という結末だけはいい。

願わくばヒース・レジャーのトニーのままで最後まで観たかったなぁ・・というのが
正直なところだ。

とにかく、かなり!クセのある映画であることは確か。

だから、
摩訶不思議な世界が好き♪
ハリウッドにはびこる王道ストーリーなんか、真っ平だぁ!

と叫んでいる人むけ映画なんじゃあないでしょうか。

ちなみに私は、この映画を観終えたあと、目が疲れて頭痛がした。(^^;)
アバターの3Dではなんともなかったのに・・・だ。

まだまだ映画鑑賞修行が(どんな修行だ?)たりないのかもしれない。

というわけで、最後に宣伝。


このヒースは泣けた。物語も一級品。


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こちらは、同テリー・ギリアムの作品。ヒースとマット・デイモンの競演作。


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コメント 13

まなてぃ

xml_xslさん ご訪問&niceどうもありがとう。(^^)
by まなてぃ (2010-01-25 14:15) 

まなてぃ

komoさん ご訪問&niceどうもありがとう。(^^)
by まなてぃ (2010-01-25 14:16) 

まなてぃ

マロンさん ご訪問&niceどうもありがとう。(^^)
by まなてぃ (2010-01-25 14:16) 

朱色会

ギリアムに限らず、監督を志してその任のある人は
いつかは「自分の夢」を映像化したいという欲求を果たしたいのでしょう。本作品はまさにそれを成したものです。

人生、自由のある根無し草でいくか、安定感のある家を構えるか?究極の選択です。
by 朱色会 (2010-01-28 23:07) 

まなてぃ

朱色会さん、こんばんは。ご訪問&nice&コメントどうもありがとう。

>人生、自由のある根無し草でいくか、安定感のある家を構えるか?究極の選択です。

朱色会さんはどっちにします?

私が思う、根無し草は短命&薄幸な感じを受けますね。

願わくば 長寿!多福!を望んでいる自分は
やはり安定感のある家をとってしまうでしょうね(笑)
by まなてぃ (2010-01-29 22:58) 

まなてぃ

Paradenさん、ご訪問、nice どうもありがとう。(^^)
by まなてぃ (2010-01-29 23:04) 

まなてぃ

shinさん、ご訪問、niceどうもありがとう。(^^)
by まなてぃ (2010-01-30 10:08) 

まなてぃ

むねきちさん、はじめまして。ご訪問、nice&コメントどうもありがとう。
by まなてぃ (2010-01-31 18:02) 

まなてぃ

ぴよぴよ ベクトさん、はじめまして。ご訪問、nice&コメント
どうもありがとう。(^^)
by まなてぃ (2010-02-01 08:39) 

ジジョ

こんにちは☆
>この映画を観終えたあと、目が疲れて頭痛がした。
なんかわかる気がします、、^^;
監督は一般人とはまったく違う周波数で生きてる人…
っていう感じがするので、その人の頭の中見せられたら
くらくらしますよねw
クセありすぎ!な映画ですねww
by ジジョ (2010-02-04 07:04) 

まなてぃ

ジジョさん ご訪問&nice&コメント、どうもありがとう。(^^)

>監督は一般人とはまったく違う周波数で生きてる人…
っていう感じがするので、その人の頭の中見せられたら
くらくらしますよねw

本当に私(一般人)とは違う周波数で生きてる人なんだろうな!と
すさまじく納得のできる作品でした。

12モンキーは、私としては、けっこうついていけた作品でしたが、
ブラザーズグリムはマット・デイモン観たさに観にでかけて、撃沈。
今回のDrパルナサスは、頭痛・・を起こしながらも、物語的には
よく自分としてはついていけたほうだと思います。

次回作も不思議な世界を期待したいですね。←けっこうクセになってる?(笑)

by まなてぃ (2010-02-04 17:39) 

inuneko

フフフッ。
オツカレサマでした!
パンフを読んだらプロデューサーが監督の娘さんで、自分の仕事を父の狂気をコントロールすること、とか言っててサスガ親子(笑)

次回はやっとドン・キホーテらしいですよ!
でもサンチョ・パンサ役のジョニー・デップは降りちゃったから、まなてぃさま的には…?
by inuneko (2010-03-06 22:47) 

まなてぃ

inunekoさん、こんにちは。ご訪問、niceそしてコメントと、
どうもありがとう。(^^)

本当に摩訶不思議な映像に翻弄された映画でした。
この監督の映画の摩訶不思議さは、毎度のことだと
覚悟はしているのですが、やっぱり観終わると
疲れたぁああ!目がぁあああああ!!頭がぁああ!となりますね。

>次回はやっとドン・キホーテらしいですよ!

ねぇ・・ちゃんと完成してくれるんでしょうかね。
ジョニー・デップが主演していたドンキのメイキングDVDなるものを
観た事がありましたが、わけのわからん世界がまた広がりそうな
予感だけさせておいて、頓挫しましたからね・・ブツブツ

ジョニー・デップ・・降板ですか・・ギャラが高かったかな?(笑)
じゃあ、サンチョ・パンサ・・誰がやんでしょうねぇ。
やはり楽しみにしていただけに、グッ!とくる俳優を配して
私を誘って(笑)欲しいもんですね。(^▽^)
by まなてぃ (2010-03-07 16:48) 

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