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インファナル・アフェア 無間序曲 [映画感想 あ行]

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映画タイトル:インファナル・アフェア 無間序曲
初公開年月 :2004/09/18
監督:アンドリュー・ラウ
脚本:アラン・マック
出演:エディソン・チャン ショーン・ユー アンソニー・ウォン
   エリック・ツァン  カリーナ・ラウ フランシス・ン 他


あらすじ <映画ONLINE参照>

1991年、香港マフィアの大ボス、クワンが暗殺された。
だが配下のボスのひとり、サムだけは造反を目論む4人のボスたちをよそに
唯一静観を続ける。
実はこの暗殺は、サムの出世を願う妻マリーが夫も知らぬ間に手下のラウへ
命じたものだった。
そんな彼女に叶わぬ恋心を抱くラウはやがて、サムによって警察学校へ送り込まれる。
一方、組織犯罪課のウォン警部は、クワンの私生児であることが発覚して
警察学校を退学処分になったヤンを組織へ潜入させることに。
こうしてラウとヤンの2人は、92年、気づかぬうちに互いの人生を交差させていくのだった。


ここからネタばれ必須です。

■2009.08.09(日) 本日の一言■

いろいろと観たい映画も、めじろ押しに公開されているのだが、
目が覚めたら昼なのだった。(≡д≡)
急いで準備するには暑すぎる・・今日はでかけるのはよそう!
というわけで、自宅にあるDVD棚から一つまみして鑑賞することにした。
で、本日のお題は、いつかレビューを上げたいなと常々、思っていた、
『インファナル・アフェア 無間序曲』である。

この映画は以前、ブログでも感想を上げていた『インファナル・アフェア 無間道』の
続きものである第2作目だ。

『インファナル・アフェア 無間道』の主人公はこの二人。
左にマフィアへ潜入捜査員として派遣されていたヤンを演じていた、トニー・レオン
右に警察官となりマフィアのスパイとして生きていたラウを演じていた、アンディ・ラウ。

いやぁ・・どっちも甲乙つけがたい!格好よかったなぁ。大好きですがな。(^^*)ヘヘヘ

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で、第2作目にあたる『インファナル・アフェア 無間序曲』では、
彼らの未来にいくのかと思いきや、彼らの過去へと戻り、
香港が中国に返還される前の時代を描いていて、

で、左の若き日のヤンを演じたのがショーン・ユーであり
右の若き日のラウを演じたのがエディソン・チャンである。

こうして並べると、アンディやトニーと似たような雰囲気を
二人は一生懸命作り演じているのが好感がもてる。

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しかしだがねぇ・・この『インファナル・アフェア 無間序曲』、
私のツボにハマって、好きな映画ゆえに何回も観ているのだが、
この映画の主人公は決して彼らではない!という印象が常にある。

確かに主人公ゆえに、この二人は映画を通して画面に登場してはくるが、
まだ若いゆえに実権を握り、この世に踊りでるにはまだ非力な青年たち役なのだ。
よって若き日のヤンとラウは、自分のあずかり知らぬところでおこる出来事に
振り回され、自分の思うとおりには行動できないのである。

というわけで、彼ら二人の代わりに世に力を示し実権を握っている男たちが、
この映画の大きな影の主人公たちなのだ。

それが以下の4名になるのだろう。

まず警察側では左:ウォン警部、ヤンの潜入捜査を命じる上司ですがな。
(演じている俳優はアンソニー・ウォン:香港映画の助演名俳優!ですね。)

右:ウォン警部の友人&上司のルク。
(俳優名はフー・ジュン。最近ではレッド・クリフで超雲役で出てました。)

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そしてマフィア側では、
左にラウを警察にスパイとして送り込むサム。
(俳優:エリック・ツァン:彼も助演名俳優)
右にサムの所属するマフィアのボスで、ヤンとは異母兄弟にあたるハウ、
(俳優:フランシス・ン:こちらも助演名俳優)である。

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この大人の4人が、それぞれの思惑や復讐を達成させるために
悪知恵&さぐりあい!のオンパレードをスクリーンで繰り広げるわけなんですがな。

まぁ・・ことの始まりは、
このサムの女房マリィが(下写真:現在トニー・レオンの奥様ですね。)

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サムの出世を望んで、ハウの父親を自分に焦がれている手下を使って
殺したことなのだが・・その殺し屋がラウなのである。(--)

実は1作目の『インファナル・アフェア 無間道』を観た時点では、
私は、けっこう このラウ役にたいして同情的な気持ちをもっていたのだけれど・・

しかし、
この『インファナル・アフェア 無間序曲』で、若きラウが焦がれた女のためだけに
彼女の命令に従いハウの父親をなんのためらいも見せずに頭を撃ちぬき殺し、
また、平然とマリィのもとへと戻ってゆき、彼女と会話を交わすシーンを観た時、
あぁ・・ラウは警察官になる前から、人格的にも完璧なマフィアであり、
彼が後年、あれほど望んだ善人の道へ進むことは、この時点で出来ない人間だったと
いうことを思いしらされたような気持ちになった。
(この事件後、ラウは人を殺した重みも感じないままサムの命令通り、
警察学校へと入学し警察官となる。)

で、殺された父の後釜についたハウは、父に負けぬ才覚をもち・・
曲者ぞろいのサムと同等のボスたちを束ねて、香港マフィアの基盤を更に強固にし、
またその反面では、異母弟であるヤン(この時点で既に潜入捜査官である)に対して、
暖かな言葉をかけ、損得を抜きにしてファミリーの一員に引き入れ、

映画『ゴッドファーザー』を思い出させるような、
マフィアの顔とは縁遠い、家族や兄弟を思う父や兄の顔も見せるのである。

こうしていると、富豪の家のパーティーのようだ・・。(^^;;)

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彼もまた、裏の世界から表の世界に頭角あらわし、ラウと方法こそ違えど
世間で認められる善人になりたいと願っていたんじゃあないか・・と私は感じたが・・。
しかし彼、ハウも根幹の部分はマフィアなのだ。

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それが証拠に彼に仕えた中枢をになっていたボスたちは、ハウの邪魔になれば
ことごとく問答無用に抹殺されていったし・・( ̄□||||!!

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ウォン警部とサムの女マリィが、手を組んで自分の父を抹殺した・・と

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それを知った時の彼の報復は烈火のごとく激しい行動にでる。
ヤン以外にいた潜入捜査官を自らの手で撃ち殺しはっきりと
「ここは黒社会だ、お前(ヤンとは別の潜入捜査官)とは相容れない」と
言いつけてトドメをさすのだ。

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(ここでのヤン役のショーンの演技が、静かでありながら、
内に殺した感情が見え隠れして見どころだと思う。(^^))

そして怒りの矛先は当然、ハウの父を殺した首謀者でもあるウォン警部にも向けられ、
この事件によってウォン警部は友人であり上司のルクを失い。
(言わせてもらえれば、このシーンも『ゴッドファーザー』を思い起こすなぁ・・)

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そしてまた、マリィの最期は、決して自分の女にはなってくれない・・と
悟ったラウの裏切りによる通報で、ハウの部下に車で轢き殺されてしまうのだ。

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(せつないにせよ、ラウってホントに恐ろしい男だな・・と私が感じた瞬間だ。・・)

まぁ・・とにかく約2時間の上映時間で、
主要登場人物のほぼ半数が鬼門に入る殺されぶり。(--)

この映画には
--世に出たものはいずれは消え去る-- 
というセリフが幾度となく出てくるけれども、

世に出たけれども、こんな消え去りかたはゴメンですよ!と
私!地味に地道に生きておりますから、長生きさせてください!(^人^)と
つい祈ってしまう。orz...ヨヨヨヨヨ情けないねぇ。

しかし・・こうやって殺されるシーンが続き、
けっこう印象的な殺され方をしているにもかかわらず、
観ていられまへん!ダメですもう!<(゚ロ゚;)>ノォオオオオオ!! ということはない。

むしろ、あぁ・・君もまた逝ってしまうのか・・という
登場人物を見送っているような自分がいるのだ。

つまり死に際の描き方、演出、脚本がいいのだろう。

けっこう残忍なことをしているハウでさえ、
異母兄弟で信頼を置いていたヤンが、実は潜入捜査員であることに気づいて
絶望の瞳を向けるシーンなんぞが用意されているものだから、
(ここのフランシス・ンの演技も見ものですっ。)

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マフィアの親玉が警察によって射殺された。平和だ!バンザイ \( ̄▽ ̄)/ という
単純に祝う気持ちにはなれないのだよね。(--)ウーン

そして全ての障害を乗り越え、新たな香港マフィアのボスとして
君臨することになったサムですら、

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この日を共に祝う、女の姿は何処にもいない。
そういう痛みも描いていてくれるのが、ただの悪に彼をしておらず、
私の喜ぶツボを刺激してくれるのだ。

もちろん完全懲悪の白黒がはっきりした映画も、観ていて楽しい。

けれども人は必ず白・黒がつけられる生き物ではいられない・・
警察官においてさえ、完全に善ではいられない・・ところが、
私をこの映画に引きずりこむのだ。
そしてこの『インファナル・アフェア 無間序曲』を観てから
再び『インファナル・アフェア 無間道』を見なおすと、
自分のいぜん抱いていたヤンに対する感想や、ラウに対する感想が
また違ったものになっていることも、新たな映画の味わいになる。

久しぶりに観たけれども楽しかった。
Part1にあたる『インファナル・アフェア 無間道』を観てから観るもよし・・
『インファナル・アフェア 無間序曲』から観ても楽しめる作品だ。

時間のあるとき、是非に。(^^)

最後に宣伝。


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コメント 8

のんたん

こんばんは^^
私ですね、1も2も見ないで、いきなり3を見たんです。設定はそれなりに分かったんですけど、善玉なのか悪玉なのかつかめないし(字幕が分からんので)、最後に突然カリーナ・ラウが出てきたり、何なの、何なのよ~~~!って混乱しました。
その後、TVで2をやってたんですが、チャンネル回した時がちょうどカリーナ・ラウが車でぶっ飛ばされるところで、いったい何なのよ~~!とこれまた分からず・・・
妹はとっても好きで、DVD持ってますよ。帰国時に奪って台湾で見ようかって思うんですけどねえ。フランシス・ンってすごいですよね。時々怖いくらいで。しかも時々めちゃくちゃかっこよく見えます。(時々かい^^;)

by のんたん (2009-08-10 00:06) 

まなてぃ

のんたんさん、こんばんは。コメントどうもありがとうございます。(^^)

>私ですね、1も2も見ないで、いきなり3を見たんです。設定はそれなりに分かったんですけど、善玉なのか悪玉なのかつかめないし(字幕が分からんので)、最後に突然カリーナ・ラウが出てきたり、何なの、何なのよ~~~!って混乱しました。

3から観たら、確かに、のんたんさんのような感想をもつと思います。
いったいなんじゃこりゃあ!状態。(笑)

3は、ストーリーが過去に飛ぶは、現在に戻ったり、
不要な登場人物がゴチャゴチャとこれでもかと出てくるし、
おまけにラウは、どんどんイカれていくのが辛いし、
結末は、まったくもって不幸の極みなので、
私も実のところ映画館で1回観て、DVDでも3回くらいしか
観ていないと思います。
こうレビューを上げるのもどうしましょう・・という気分になる
お話でした。物語の説明も難しそうだし。(^^;;)

なので、『インファナル・アフェア』は1と2がお薦めです。
ぜひ、れいりんさんから借りて観てみてくださいな。(^^)

>フランシス・ンってすごいですよね。時々怖いくらいで。
しかも時々めちゃくちゃかっこよく見えます。(時々かい^^;)

格好いいですよねぇ!(時々ですが・・(笑)
演技派で私はけっこう彼を高く評価していて好きなんですけどね。
こうどんな役を演じても同じにはならないところとか、
目がイってしまうところとか、スゴイなぁと・・もっと高く評価されても
いいのになぁ・・と常々思っているのですよ。

香港や台湾では、どーなんでしょうねぇ。
by まなてぃ (2009-08-10 21:16) 

まなてぃ

nobuaki4091さん、niceありがとうございます。
by まなてぃ (2009-08-10 21:49) 

まなてぃ

c_yuhkiさん、はじめまして。niceどうもありがとう。
by まなてぃ (2009-08-10 21:50) 

yuichiroyu

はじめまして。インファナル・アフェアシリーズ大好きなのですが、2をもう一度みたような気分になる素敵なレビューで、思わずコメントしてしまいました。

この映画で、一番好きなシーンは、最後のサムのシーンです。人前での笑顔の裏にある苦労や悲しみを想像させる演技に思わず涙しました。このサムのキャラクターが好きなのかもしれません。

1のレビューも見られれば嬉しいです!



by yuichiroyu (2009-08-10 23:00) 

まなてぃ

yuichiroyu さん、こんにちは。はじめまして。(^^)
nice&コメント、どうもありがとうございます。

私もインファナル・アフェアシリーズは大好きな作品ですね。
やはり役どころの全員が、全て善でいられなかったり、
悪でもいられなかったりするあたり、深みがあって最高ですね。

特に、サムはこのPart2にあたる無間序曲では、
yuichiroyu さんの言うとおり、

>人前での笑顔の裏にある苦労や悲しみを想像させる演技に
思わず涙しました。

ただの中枢ボスではない深みのある役どころで、
そうとう印象を観客の人たちに残したのではないかなぁ・・と思います。

香港映画関係も、少々アップしておりますので、
また遊びにきてください。お待ちしておりまする。

あ!Part1のレビューは以下にあります。
よろしければ、どうぞ。(^^)

http://ma7tee.blog.so-net.ne.jp/2007-03-11

by まなてぃ (2009-08-11 18:24) 

まなてぃ

komoさんniceどうもありがとう。(^^)
by まなてぃ (2009-08-13 00:29) 

まなてぃ

NOBUさんniceどうもありがとうございました。(^^)
by まなてぃ (2009-08-17 16:19) 

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