SSブログ

パフューム ある人殺しの物語 [映画感想 は行]

映画「パフューム」オリジナル・サウンドトラック

映画「パフューム」オリジナル・サウンドトラック

  • アーティスト: ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 サイモン・ラトル, サイモン・ラトル, ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団, ラトヴィア州立合唱団, クリスティアン・ヤルヴィ, チェン・レイス, メラニー・ミトラノ, トム・ティクヴァ, ジョニー・クリメック, ラインホルド・ハイル
  • 出版社/メーカー: 東芝EMI
  • 発売日: 2007/02/07
  • メディア: CD

映画タイトル:パフューム ある人殺しの物語
初公開年月 :2007/03/03
監督:トム・ティクヴァ
脚本:トム・ティクヴァ  アンドリュー・バーキン ベルント・アイヒンガー
出演:ベン・ウィショー  ダスティン・ホフマン アラン・リックマン 他
   
■2007.3.4(日) 本日の一言■

昨日3月3日(土)は久しぶりに映画館へでかける。(^^)
観たのは予告編が流れた時から、長らく公開を楽しみにしていた作品、
『パフューム ある人殺しの物語』である。
予告編を観る限り、それは、まるで『アマデウス』を思わせるような映像であり、
天才香水調合師の物語と聞けば、『天才』の顛末物語が大好きなので
これは観ないではいられない。

以下から、あらすじと感想をアップする。

---あらすじは映画ON LINE より---

18世紀のパリ。悪臭立ちこめる魚市場で一人の赤ん坊が産み落とされる。
危うく捨てられかけた赤ん坊は、間一髪で拾われ、グルヌイユ(ベン・ウィショー)と
名付けられて育児所に引き取られる。
グルヌイユは友だちもいない孤独な子どもだったが、何キロも先の匂いを嗅ぎ分ける
超人的な嗅覚の持ち主だった。
やがて青年となったグルヌイユは、ある時運命の香りと出会った。
それは赤毛の少女の体から匂い立っていた。
しかし彼は、怯えて悲鳴を上げようとした少女の口をふさぎ、誤って殺してしまう。
以来、彼は少女の香りを再現することに執着し、
香水調合師バルディーニ(ダスティン・ホフマン)に弟子入りするのだが…。

次に感想である。
★以降、ネタバレあり★

食べ物は匂いがしなくても、画像があれば「おいしそう♪」と呟ける。
それが証拠に日本のTV番組はグルメ紹介番組で、溢れ返っており、我が家でも
夕飯を食べつつ、それら番組を観ては、家族で「おいしそー♪食べたーい♪」と
(とくに私と妹は)連呼することが日常茶飯事といってもいい。
しかし香りばかりは、無色透明である故に画像でどのように見せてゆくのか?
私には想像がつかなかったのだ。

映画の始まりは、とにかく不衛生きわまりなく、人間が誰しも不快だと感じる
匂いのモトが、次々と画像を占拠してきた。
主人公のグルヌイユ(ベン・ウィショー)がこの世に誕生する場所が魚市場ゆえ、
くさった生魚の残骸、大挙して押し寄せる人波に、吐しゃ物、生ごみ奥深く
群がる蛆虫etc・・
その匂いなどは、誰もが一度は嗅いだことがあるだろうが、
(蛆虫の匂いはないか・・でも想像に、たやすいような気もした。)
再びもう一度と嗅ぎたい思う者はいないろうし、想像もしたくはないだろう。
私などは観ている間じゅう背中に虫唾が走り、眉間に縦皺の2・3本立ち困ったほどだ。
とくに映画の導入部分から香水調合師バルディーニ(ダスティン・ホフマン)に
弟子入りするまでのグルタイユの人生は自分で人生を選べずにおり、
不幸を絵にしたような世界だ。その不幸と比例するように、香水を連想させる
甘いものは映画に何1つ出てこない。
あるのは、孤独な香水師が次々と嗅ぐ鼻息の音と、貴婦人がうっとりと目を細めて
手首につける香水の原液の大元の姿である。それはカエルや蛇、腐った果物やら
得体の知れない液体であるのだ。
香水のオリジナルとなる原液の正体は見ないほうがよいと話には聞いていたが、
この映画をみている限り、香水を自分の手首に吹きつけたいという思いは、
私の頭の中からは露ほどにも起こらなかった。かわりに私を香水のように包んで
離さなかったモノは、主人公グルタイユの鼻息の音なのである。(--#)
今、映画を観ている自分を思い返してみても、イヤだな・・と思うのだが、
この主人公が匂いを嗅ぎ分けようとするたび鼻がアップになって、鼻息の音がして
先にある匂いの元が、画面にでてくるということが幾たびも繰り返される。
そして何故なのだろう・・・私自身も呼吸が主人公と同化してくるのだ。
映画館の中なので匂いなどするはずもない。しかし、グルタイユが嗅ぎまわる匂いを
間違いなく、自分も一緒になって頭の中で嗅ごうと努力しているのだ。
(@@)<あぁ!やだ!やだっ!私は匂いフェチなんかじゃ絶対ないのに・・(><)
特に映画の中盤から後半にかけてのグルタイユの匂いに対する探究心は、
ただの香水作りから世界にただ1つ、世界がひれ伏すような究極の香水作りへと
変貌をとげてゆく。よって香水の原液になるものも花や生物だけでなく、
かってから、主人公が病的に魅かれてやまなかった女の体臭や髪へと触手を明確にし、
好みの香りを持つ女を見つけては、時には衝動的に、時には音もたてずに
忍びよって殺しては、彼女らの体臭と髪をそぎ落とし、顔色1つ変えずに黙々と
作業を続ける姿は驚愕に等しく、その香り以外、何もみていない彼の心理状態に
私の指先は冷えに冷え切り、恐ろしさに息を飲んだ。
だが、あぁ・・そんな恐怖が私を支配しているのに、最後の犠牲者となる貴族の娘の体臭で
香水のための原液が全てそろい、グルタイユが調合し、香水が出来上がったのを
映像で観たとき、果たしてどんな匂いがするのか?と私は興味津々になっているのだ。
正直、グルタイユが捕まり死刑になるのは当然だろう。
殺しも殺したり・・10人以上の罪なき女性を手にかけているのだ。そんなことは当然だ。
しかし、出来上がった香水が、このまま映像に描写されることなく『完』なんてことは、
おばさんはイヤだな・・ここまで引き伸ばして肝心要のその香りをどう映像で表現するのか、
とくと見届けたいのである。((o( ̄ー ̄)o)) ワクワク 
世界が平伏する、その香水はグルタイユの処刑が行われる広場でグルタイユ自身が、
見物にきた市民に向けて軽くふりまかれた。そして起こったことに私の口はパックリ開いた。
その香りの効能は人を愛し愛さずにはいられない淫靡なモノだった。
市民はその香水によって怒りを忘れ、驚くことなかれ広場で全員が真裸になって
性欲を満たすことだけに没頭しはじめるのだ。(◎◎)<エ・・マジデスカ・・全員カヨ・・オイオイ
まぁこれだけでもオイオイ状態なのに、それにプラスして驚いたことは、
娘を殺された怒りと悲しみにたけっていた大貴族の父が、バスティユに向かって
はじめこそ「私は騙されんぞ」と吼えていたのに、再び香りをふりまかれた瞬間に、
「私を許してくれ・・君は無罪だ・・」と膝をつき、彼の手にすがりつくのである。
観ている私は大パニックである。娘を・・無実の愛娘を殺されていても・・そ・・そうくるか、
そうですか・・フーン・・そうなんだ・・(@@)
これで主人公は逃亡して、『完』なのか、チッ!外した映画だ。腹がたつな・・と
思っていると映画はここで『完』というわけではなかったのだ。(^^;;;)<スミマセン
ここから最後の約10分が、この映画の本当のクライマックスなのだと私は思う。
世界が平伏す香水の力で処刑をまぬがれ、その国を後にしたバスティユは、自分の命、
欲望の全てであった香水を完成させたことから、抜け殻の腑抜けのようになって
己が生まれた悪臭ただよう魚市場へと帰っていった。
そしてバスティユが完成した香水を頭から一滴残らず全て己にかけたとき・・・
そう多分、世界が平伏するというのは、つまるところ、こういうことなのだと・・
観客に見せつけるのである。 映画館に香水の匂いはしなかった。
しかし、私は確かにその匂いの顛末を知り、感じることができたのだった。

次に俳優の感想である。

主役の天才香水師グルヌイユを演じたベン・ウィショー。
本当にウマイです。とは言ってもこの作品しか観たことがないのだけれども、
演じているように見えない。グルヌイユになりきってしまっていて、
虚空な目、無表情さが恐ろしすぎる。体の動作にも無理がないので、
物語にはハラハラしたけれども、演技に対して安心してみてられる。
次回作が、本当にウマイのかどうかの分かれ目になると思う。
良い作品を選んで、良い俳優になってもらいたい。

次、グルヌイユを引き取り、香水の基礎を教えてやる、落ちぶれた
香水師バルディーニを演じたダスティン・ホフマン。
この映画の唯一の笑いどころや息のつきどころを数々、演じていた。
けっこう早くに出番がなくなってしまうので、寂しくはあったけれども
その存在感はバッチリである。なんだか久しぶりに演技をしている
ダスティン・ホフマンを観たような気がする。
好きな俳優さんだけに、次回作にも大きく期待したい!

では最後に映画の全体的な感想。

前半の感想がわりと、ほめ調子できたので全体的な感想では、
1つだけケチをつける。
それは・・映画に度々入るナレーションが邪魔だなということなのだ。
主役を演じているベン・ウィショーや、ダスティン・ホフマン、他
街を守る門兵にいたるまで、皆この世にいそうだという演技をしてくれるので
観客も18世紀のパリという世界に入り込みやすいのに、物語の補足をするように
ナレーションが入ると、現実に引き戻されたような感じがしてならなかった。
もっと物語の役の誰かに語らせることは出来なかったのか?と思わずにはいられない。
良い映画だっただけに少々残念なてんである。
それでも約2時間30分の長丁場、飽きることなく最後までグイグイと
引き込まれてみることができた。物語もよく作られているし、
香り、匂いこそ、映画館に存在を許されなかったが、映像の助けをかりて
自分の頭と想像をフル稼働させ匂いと香り、天才香水師の顛末を味わえる作品だ。

匂いモノだけに、体調を整えて鑑賞してもらいたいな・・と思う。(^^;;)


nice!(6)  コメント(10)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

nice! 6

コメント 10

まなてぃ

>でぃーじぇーさんNiceありがとうございます。(^^)
by まなてぃ (2007-03-04 20:57) 

朱色会

コメントありがとうございました。

>私の口はパックリ開いた。
というところにぐぐっときました。「ふふふ…お嬢さんには刺激が強すぎたかな?」(笑

エンタとしても観れるし、いろいろな捉え方が可能な映画ですね。(私はまとめるの大変でしたよ。

私もぐったりでしたが・・・まなてぃさんの元気のよいコメントで盛り返しております。うっしゃぁ~(←また、やっちまった。。。
by 朱色会 (2007-03-04 23:27) 

まなてぃ

>朱色会 さん、こんばんは、Nice&コメントありがとうございます。
お嬢さんというには、もうかなり遠い年齢になってしまいましたが、
全員がオールヌードですからねぇ。
口が開いてしまったのですよ。お恥ずかしい。(*^○^;;)ハハハハ

けれども、なかなか良い映画でした。
映像で感じる香り、思わぬヌード・・に
BGM、芸達者な役者、美女、そして思いもせぬ結末。
どこに感想の視点をつけて書こうかと久しぶりに力が入りました。

今年に入ってから新たに観た映画に
今のところ、外したものがないのも嬉しい♪
このまま良い映画にめぐり合い続けたいですね。(^^)v
by まなてぃ (2007-03-05 21:27) 

カウンタック

ベルリンフィルが懐かしい、学生時代クラシック音楽をよく聴いていました。この映画は、テレビでかなり詳しく紹介されていて、音楽だけに興味が残りました。観る理由がなくなりました。
by カウンタック (2007-03-06 11:13) 

まなてぃ

>カウンタックさんNice&コメントありがとうございます。
ベルリンフィルがBGMを担当するという、とても贅沢な映画でしたね。
ここまで音楽にこり、なおかつ、映像の邪魔になっていないのは
たいしたものだな・・と思いましたよ。
テレビでこの映画について詳しく紹介されていましたが、
私は観てよかったな・・と思った映画でした。
DVDになったあかつきにでも是非、観てみては。(^^)
by まなてぃ (2007-03-06 18:04) 

まなてぃ

>noricさんNiceありがとうございます。(^^)
by まなてぃ (2007-03-06 18:10) 

のんたん

懐かしい・・・
ってこの映画、見たわけではないんです。
でもこれを見ようとして、金城武とトニー・レオンの「傷城」の先行上映
を見たものですから、なんかあの時のことを思い出します。
(連れが「傷城」で号泣しまして、「こんなに悲しいなら、香水見れば
よかったー!」っていつまでも泣いてたんですよ~)
予告でも確かに彼の息を吸う鼻のシーンが印象的、ってか私には
ちょっと怖かったんですけど^^;うーん、一人で見ても大丈夫かな。
なんか怖いんですよ、あの主人公の表情が!!
by のんたん (2007-03-12 03:12) 

まなてぃ

>のんたんさん、こちらにもコメントありがとうございます。(^^)
この映画の予告編が流れ出したときに、あ!これは確か
のんたんさんのブログにアップされていた『傷城』のお話にでていた
観なかった『香水』という映画だな・・とふと、思い出したりなんか
しましたよ。
この『パフューム』、あまり残忍なシーンはないといっていいと
思いますよ。ただ・・うーん主人公がイッちゃっている感じは
よく出てはいます。虚空な眼の表情とか・・この人・・ちょっとヤバイ
んじゃないの?と感じるような瞳といえばいいかなぁ。
鼻や呼吸音は確かに不気味かなぁ・・・・
私は一人で観にいったのですが、一人の部屋でこれをDVD鑑賞
再びしたいか?と聞かれると、うーん・・迷うなぁああ
というのが本音ですね。 お友達とDVDで鑑賞したらいいのでは
ないですかね。(^^)
それより私、早く『傷城』が観たいんですよぉおおお!
久しぶりにトニー・レオンを味わいたいっ!いつ公開になるのかなぁ。
日本で公開されるらしいという情報は得ているのですが、
一向に、公開日がわからない・・・トホホです(><)
by まなてぃ (2007-03-12 18:55) 

まなてぃ

>しらたまぞうさん 私が、このNiceを見落としてしまっていて、
お礼が遅くなってしまいました。
Nice、遅ればせながら、ありがとうございました。(^^)
by まなてぃ (2007-03-15 00:19) 

まなてぃ

>たろうさん、Niceありがとうございました。
また、そちらにも遊びにいきますね。(^^)
by まなてぃ (2007-03-15 22:09) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。