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犬神家の一族 [映画感想 あ行]

犬神家の一族 オリジナルサウンドトラック

犬神家の一族 オリジナルサウンドトラック

  • アーティスト: サントラ, 谷川賢作
  • 出版社/メーカー: ERJ
  • 発売日: 2006/12/13
  • メディア: CD

映画タイトル:犬神家の一族
初公開年月 :2006/12/16
監督:市川崑
脚本:市川崑 日高真也 長田紀生
出演:石坂浩二 松嶋菜々子  尾上菊之助 富司純子 松坂慶子 萬田久子 他

■2006.12.21(木) 本日の一言■

師走というのは、何故こうもせわしくなっていくのだろう。(--)
映画好きとしては、お正月に向けての映画が次々と公開されて、嬉しい限りであるが、
早めに公開されるお正月映画を楽しみつつも、やらねばならない生活ごとも沢山でてくる。
お正月を休むために、なんだかバタバタと会社がせわしなくなり・・(--)
あと会社の掃除もせねばならんし(--#)<自宅はパパッと適当なのに・・
そして何より、年賀状!あぁ!年賀状!である。(><)
年賀状書きが、ネットめぐりやブログめぐりを中断させるのだ。
その年賀状書きも、やっとひと段落ついたので久しぶりの映画感想の更新だ。
本日の感想は先週の土曜日に観にいってきた『犬神家の一族』である。

まずはあらすじから。
第二次世界大戦終戦直後、信州にある犬神財閥の創始者・犬神佐兵衛(仲代達也)が
多額の財産を残して亡くなる。
彼には腹違いの3人の娘、松子(富司純子)、竹子(松坂慶子)、梅子(萬田久子)がおり、
それぞれに出兵中の佐清(尾上菊之助)、佐武、佐智という息子がいる。
また屋敷には佐兵衛の恩人の孫娘である野々宮珠世(松嶋菜々子)も家族同様に
暮らしていた。
佐兵衛は生前に財産分与に関して一通の遺言状を残していた。家族と珠世も同伴という
約束で公開された遺言状には「佐清、佐武、佐智のいずれかとの結婚を条件に、
犬神家の全財産を珠世に譲渡する」とあった。
そこに戦争を終えて顔の半分に火傷を負い、白のマスクを被る佐清が母、松子と共に
帰宅してきた。本物の佐清とは思えぬその妖しげな風貌に、残りの姉妹、その息子たちは、
財産をめぐり疑心暗鬼になり佐清が本物であるかどうかを確かめようと躍起になる。
そんな中、次女、竹子の息子が残忍な死体となって屋敷の庭で発見され、
三女梅子の息子も殺されてしまう。相続にまつわる事件が起こりそうだと、弁護士に呼ばれた
探偵・金田一耕助(石坂浩二)は、事件をみつめながら、犬神家の血の系譜の裏にある
隠された事実を突き止め、殺人事件の全貌を明らかにしようとするのだが・・

では感想である。
★以降、ネタバレする部分がありますよ★

久しぶりの邦画鑑賞、『犬神家の一族』である。
この映画は1976年に公開され、監督は市川崑、主人公、金田一耕介を演じる
石坂浩二であり、それを同じまま2006年に30年ぶりにリメイク作品として今回、公開された。
30年前に公開された、オリジナルの『犬神家の一族』は、さすがに私も子供であったので、
映画館での鑑賞はしていない。ただ、その当時、お正月に祖父母の家へ出かけた夜の帰り、
電車を待つ駅に『犬神家の一族』のポスターが大々的にいくつも貼られており、そのデザインが
湖にニョッキリ!と出た二本の脚で、横に『犬神家の一族』という文字があり、
それが駅の白い蛍光灯の光と相まって薄気味悪くチラチラと光り「恐ろしい」(@@)
という気持ちと「不気味」という気持ちを感覚的に覚えたことが印象深く残っている。
その後、この映画はTVで放映され、当時よりも年齢を重ねて観たわけだけれども、
とにかく、殺される人の残忍な生首ばかりが印象に残ったし、後に、この作品の
作家である横溝正史の作品を映像で観ることが度々あったが、私が子供であったせいなのか、
どれもこれも残忍な遺体や、その手口ばかりが深く残るばかりで、裏にある犯人や
家族の人間模様、そして結末にまでは、とてもとても、気持ちが向かず、
犯人が誰であったのかも、オボロゲな状態である。(^^;;)
しかし、あれから30年!(綾小路きみまろさんの漫談ではないが・・・)と時が経ち、
旧『犬神家の一族』と作りが、ほぼ変わらないリメイクされた『犬神家の一族』を鑑賞して
みるとあぁあ・・時は経ったな・・私は歳をとったのだ・・という感慨に包まれることになった。
まずは当時、印象が強かったはずの長女、松子の息子、佐清の不気味な白いマスクに
あまり気がとられなくなっており、第2にマスクの下の佐清の戦争ゆえに火傷で爛れ
醜くなった顔に「ヒャッ」という悲鳴を上げなくなり、第3に、あんなに恐れていた
次女、竹子の息子が殺され生首が、菊人形の頭と挿げ替えられ、生首がゴロリと
人形の胴体から落ちて不気味な表情を地面に晒し、血が広がったところで
「ああ・・首が落ちた・・しかしこの犯人・・何も遺体の首をわざわざ切って、菊人形の上に
乗せるなどして、目立つようにしなくても良いのに」(--;;)<ウーン 
と妙な感想が頭をもたげてくるのである。湖に浮かび上がる脚、首から下の遺体も
「残りの遺体が出てきたか・・」と、あっさりと受け入れつつ、やはり気になるのは
犯人は誰なのか?と、犯人が何故このような目立つ形で遺体を放置したのか・・
ということになるのだが、次女の息子、続いて三女の息子が殺された時点で、
犯人の目星は3つになると思う。長女の息子はまだ生きているので、犯人は長女の松子か、
3人の息子のどれとも結婚をしたくはなかった野々宮珠世、もしくは、
野々宮珠世の世話人であり、彼女に思慕をつのらせているか?と思わせるような
下人の猿蔵が犯人なのか・・など、素人探偵気分はウズウズする。
そして・・ほどなく、ただ一人生き残っていた長女の松子の息子、佐清も殺されてしまうのだ。
殺される以前に顔の判別がつかなくなった佐清が本当の松子の息子であるかという議論も、
出兵前に取った手形が合致し一件落着していたのだが、今度は死体となった、
その佐清の手と手形が合わず、いったい殺された顔に傷のある佐清は何者であったのか・・
何故、偽の佐清は出生前に取った手形と自分の手形を合致させることができたのか?
犬神家の若き相続人候補である二人の青年たちを殺したのは誰なのか?という
大円団へと向かい、犯人の目星を3つに絞った、素人探偵の私は、そこのところの説明が
できず、σ( ̄、 ̄=)ンート・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・やはり金田一耕助の推理と調査におすがりせざる得ないのである。(笑)
金田一耕助の「犯人はあなたですね」というセリフの後に続く推理は、もっともだと頷ける
納得のゆくモノであった。しかし、だが、しかしである・・名探偵であるのであれば、もう少し
被害者の数を減らす努力と犯人が自害する前に、その身柄を確保するのが先決であるよう
にも思う。とうとうと自分の推理を語り、それを聞きながら毒をしこんだ煙草を犯人が喫い
果てた後に「あぁシマッタ!シマッタ!」と叫ぶ金田一耕助。
すでに犯人が煙草をつかって弁護士を殺してしまっていることを知っていながら、
犯人が煙草を喫うことを黙認し、彼は時遅しと嘆くのだ。
金田一耕助は、犯人が自殺するのを知っていて黙認したのか?・・(--)
ここで私の『犬神家の一族』を初めて観たときの記憶の断片が蘇りだす。
あの時も私は「何・・手遅れなことをいってんだろ・・この探偵は・・」と悪態づき
しかし当時、若かった金田一耕助の風貌を見て「あ・・でも若い探偵さんだから・・
そこまでは気づかなかったのか」と生意気にも感じたものだった。(^^;;
しかし30年たった金田一耕助は既に若い青年探偵ではなく、老年の探偵なのだ。
この外見、年齢で「シマッタ!シマッタ!」はないだろう・・しっかりしろぉ!金田一耕助・・と
息まきながら、エンディングロールを見送ることとなった。(笑)

次に俳優の感想。

さて、今回のこの映画には大女優が、ぞろりと出演している。
それぞれに語ると長くなるので、今回はまとめて感想を書くことにする。
ヒロインに松島菜々子を据えてはいるが、影がかなり薄い。
目がゆくのは、やはり犬神家の3姉妹である。
もちろん、松坂慶子や萬田久子なども、意地悪く財産だけを追いまわした挙句、
息子を亡くす女を熱演していた。こんなにウマイ女優さんたちを配していながら、
あまり多くの出演シーンがないのが残念でならなかった。
そして物語上、どうしても目立った役どころになるのは富司純子であった。
顔で判別のきかなくなった息子を庇い不憫に思いながら、裏で犯行を重ねる母の姿を
重厚に演じていて本当に素晴らしかった。
それに比べると旅館屋のお手伝いさん役の深田恭子や次女:竹子の娘、奥菜恵の演技は
いただけない。それほど重要な役ではないにせよ、うーん・・なんだかな・・といわざる
得ないような棒読み的な演技で、目を覆いたくなった。もっと演技をガンバレである。
また物語のキーパーソンとなる佐清を演じた尾上菊之助は台詞の言い方が、
時々、どうしても歌舞伎の言い回しの匂いがするのが気になる。
金田一耕介を演じた石坂浩二は相変わらずの無難な演技ぶりだった。

最後に映画の全体的な感想を書いておこう。

物語の基本はすっかりできている上、30年前にすでに一度、映画制作をされ、
監督も同じ、主演も同じというリメイクだけに、もう今更、手を加えて何をしようとするのか・・
という『犬神家の一族』だったが、すっかり物語の筋を忘れ、おぼろげな記憶をたよりに
この映画を観た私にとっては、チャチに見える生首を眺め、物語を味わいそれなりに推理を
楽しめた作品だった。子供のときに観た生首は、あんなに恐ろしかったに・・
今の年齢となってしまうと作りにばかり目がいってしまうのは、やはり歳をとった証拠なのだ。
新たなシーン、あっと驚くようなリメイク作品ではないが、今、現在、活躍中の俳優で
『犬神家の一族』を撮り直すとこういう作品になりますよ・・という映画だと思う。
観ている途中、お金をかけたサスペンスものをみているような気分にもならないでは、
なかったけれども、小説自体がしっかりと作られたモノであったので、大円団シーンを迎えて
再び、自分は映画を観ているのだ・・という気持ちを取り戻すことができたような感じだ。

この作品は30年前を懐かしんで、あぁだ、こうだ言うのが楽しい映画なのだと思う。
1人で観るより、当時を知っている人と観に行き、帰りは居酒屋にいって文句をつけたり
良かったといったりするのが楽しい気がする。
あぁあ!しかし!私は1人で観にいった。金田一耕介ではないが、
「本当にしまった」という気分がする。(--;;)
次回、もし再び金田一耕介がリメイクされることがあるとすれば、
私はきっと誰かを誘って映画館へゆき、そして居酒屋へいこうと決心しているのだ。(笑)


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コメント 4

まなてぃ

>でぃーじぇーさんNiceありがとうございます。
by まなてぃ (2006-12-24 10:34) 

まなてぃ

>noricさんNiceありがとうございます。
by まなてぃ (2006-12-24 10:36) 

のんたん

確か土曜日の夜、テレビで放映されてましたよね?TVシリーズ?
横溝正史とかの怖いやつ。獄門島?真珠郎?あ、あやふや・・・
怖い怖いって言いながら、ちら見してたような記憶が・・・
犬神家・・・もご多分にもれずです。
なんか30年たってしまった今は、こんな感じが精一杯なのかもしれませんね。
映画を見終わった後、居酒屋であーだこーだやる・・・
これ、いいですねえ!もう居酒屋ってとこに惹かれました!
by のんたん (2006-12-27 19:25) 

まなてぃ

>のんたんさん、コメントありがとうございます。
横溝正史の作品の中に、『獄門島』や『真珠郎』がありますね。
私は『真珠郎』は観たことがないのですが、やはりオドロオドロしいので
しょうねぇ。(^^;;;;;)
30年ぶりに観た『犬神家の一族』は、けっこう楽しめましたね。
こう生首とかがですね、なんというか・・遊園地の日本のお化け屋敷の
ように見えてですね、怖いシーンなのに、笑ってしまうような楽しさが
あるのですよ。(笑)あぁ!このおかしさを本当に観た後すぐに、
居酒屋で語りたかったですねぇ。久しぶりに誰か同世代と映画に
いきたいなぁ!と感じた映画でしたよ。
by まなてぃ (2006-12-29 13:53) 

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