フル・モンティ [映画感想 は行]
映画タイトル:フル・モンティ
初公開年月 : 1997/12
監督: ピーター・カッタネオ
脚本: ジョン・デ・ボーマン
出演: ロバート・カーライル トム・ウィルキンソン マーク・アディ 他
■2006.7.23(日) 本日の一言■
昨日は映画館で映画でも・・・と思い、ネット検索したが、「今日はこれが観たい!」という
作品が見当たらなかったため、レンタルショップへでかけ、「フル・モンティ」を借りた。
検索で調べたところ、この映画も約10年前の作品になるのかとびっくり。
後輩と銀座の映画館へ鑑賞にいったことが懐かしく思い出される。
当時、鑑賞後に食べた、人生初めてのインドカレーもおいしかったなぁ。(^-^)
もうあれから、こんなに時が経ってしまったのか!というわけで、ノスタルジィイイ・・を
感じつつ2度目の鑑賞をした。(笑)
あらすじは、以下のとおり。
イギリス北部のシェフィールドという街は、昔は鉄鋼業で栄えていたのだが、
鉄鋼産業がさびれるのと同時に、失業者の溢れる街に変貌してしまう。
失業から小学生の息子と妻とも別居状態、養育費を払う事が出来ずに共同親権を
失いそうなガズ(ロバート・カーライル)も毎日、職業安定所に通う日々が続く。
そんなある日、親友のデイヴ(マーク・アディ)と共に街にやってきた男性ストリップショーに
紛れ込んだガズは女性陣の熱狂ぶりに驚き、何の取り柄もない自分たちでも
ストリップをすれば金を稼げるのではないかと考え、仲間の募集をかけてストリップの練習に
励みだすのだったが・・・
さて感想である。
★以降、ネタバレしていきますよ★
この映画は背景に失業という暗い現実をおきながら、失業した家族持ちの男たちの
悲哀こもごもをクスリと笑う映画である。
映画のテンポは淡々していて、決して早くはない。金になるかもしれないと、わかりつつも
大勢の女性の前で挑発するように踊り、ヌードになることに、しょうもない抵抗を仲間うちで
見せる男たち。その姿と彼らの悩みは女たちが胸が小さい、大きい、ウエストがある、ない、
ヒップが貧弱だ、大きすぎると悩む姿とさして違いがないことを私は初めて知り、
男には男の外見の悩みというのが、女に言わずともあるのだなぁ。と当時、教わったような
気がしたし、女よりも見栄や看板を立てて生きていかねばならない男というのは
大変なんだなぁ。という感想をもった。
また、余談になるが、これが女のストリップショーの物語であったなら、ここまでの抵抗も
葛藤も笑いもない映画になっただろうと思われる。こうやって書くと男女差別だの偏見だと
言う人もいるかもしれないが、多分、女は生活のため!金のため!という問題がでてきた時、
この映画に出てきた男たちのように悩みもせずに、早くから覚悟がつけられるだろうし、
ついた後は意外にあっさりと、皆で堂々と脱いでしまい、その上、大勢で脱ぐという行為、
ダンスを楽しめる生き物なのではなかろうか。(^^;;)
余談から本筋に戻ろう。こうして悲喜こもごもあったのち、勇気を振り絞った男たちが
地元の客の前で踊り、脱ぎきってしまうところでこの映画は、エンディングを迎えるのだが、
笑いだけのすっきり!爽快映画という感じは持てなかった。
それは、閉鎖された鉄工所で無許可で、脱ぐ練習とダンスをやり地元の警察に一度は厄介に
なってしまった彼らが、会場に来ていた地元のポリスたちから、どのようなお咎めがきたのかは、
映画を観た人たちの想像の世界だからだ。今回、2度目の鑑賞ではあったが、
私の中に以前にも増して「えぇえ!その後、彼らはどうなるの?」という、
最大級の焦れ焦れ感があったのは、いうまでもない。
稼いだ2000ポンドは、彼らの手に渡ったのかな?やら、主人公は、養育費を払えたのか?
彼らは その後、ストリッパーとして稼いで生きていくのか?という問題提示についての
回答は最後まで、されないのだ。
ううぅう・・こんな終わり方では先が気になるではないか・・・消化不良を起こしそうだ・・(><)
登場人物の男たちは、主人公を含めて、正直、情けないモノたちばかりである。
しかし、情けないなりに、彼らはこんなに努力したのだから、その先は成功してくれよ・・と
願わずにはいられない思いで、2度目のエンドロールを眺めることになった。
さて次に俳優たちの感想を書いておく。
主人公のカズを演じた、ロバート・カーライル。この映画で初めて知った俳優さんである。
この映画のヒット後、映画「007/ワールド・イズ・ノット・イナフ?」や「ビーチ」などで
悪役として名を鳴らすようになる。
しかし、私が好きな彼の役は、金はないが、子供にも妻にも愛情を注ぐ父親が一番、
似合っていて、今回のフルモンティのカズの役はハマリ役だと私は思う。
自分に文句をつける相手に言い負かす口は持っていないが、負け犬の遠吠えだけは
できるという、本当はとっても小心者の男の内面や、ションボリした後姿をカーライルは
心おきなく演じてくれている。
余談になるが、彼のタバコの喫いかたが妙に格好よい。と画面をみながら喜んだのを
今でも私は、はっきりと覚えている。今回も格好よかったぁ。(^^)
次、カズの元上司役を演じた、トム・ウィルキンソン。
彼の顔を観たとき、どこぞの映画でお会いしましたよねぇ。と思ったのだが、
映画「エミリー・ローズ」で、悪魔祓いをした神父さん役ででてきた人なのではなかろうか?
プライドは高く、しかし妻へ失業したことを正直に打ち明けられずにいる小心者を
実際にいる人物のように、難なく演じている。この映画の助演男優賞をさしあげたいくらいだ。
次、カズの元同僚で、自分の体重過多をひそかに悩むデイブの役を演じていた、マーク・アディ。
彼の日常と行動が、この映画では一番、多く描かれていたのではなかろうか?
儲け役をもらっていて、内向的性格を嬉々として演じている。これだけの年月が、たっている
というのに、彼が体重減量のために大きなお腹にラップをまきつつ、チョコを食べたシーンに
ついては鮮明に覚えていた。(^^;;;) 彼もこの映画には、なくてはならない助演男優賞モノの
役者さんである。
最後に映画の全体的な感想である。
この映画は、本来であるなら、失業、離婚、慰謝料、とくれば、いくらでも、暗く描ける
テーマを明るく、笑いに混ぜて観せた初めての作品だったのではなかろうか。
寂れた失業者だらけの街の中にも、とるに足らない小さな悩みや笑いがあると、ポイントを
しっかり前に押し出して、約90分という上映時間に各登場人物を描ききったのは、
天晴れと思った。
またこの映画で、私はアメリカ製作の映画とイギリス製作映画の特徴の違い、映画に大爆笑を
を作らずとも楽しい映画を観たとすれば、それはイギリス製作映画の可能性が高いという、
みょうな確信をもたせてくれた作品でもある。
よって「フル・モンティ」に大爆笑はない。フフフフ頑張れよ。(^m^)と含み笑いをしながら
観る映画である。今回も充分、含み笑いをさせてもらった。上映時間も長くはないし、
俳優はツブぞろい。楽な気持ちで鑑賞するのに良いのではなかろうか。
観て損をした!ということはないと思う。
初の鑑賞から四捨五入10年後に私も観たわけだが、相変わらず良い映画だ。
そして今も私はこの感想を書き終えながら、映画を思い出しフフと笑うのだった。(^-^)
こんにちは。イギリス映画は底辺で生きる普通の人たちを描くととってもおもしろい作品がたしか10年前ほどたくさんありましたね。フルモンティはその最高峰ではないでしょうか。
by takepii (2006-07-23 21:35)
>こんばんは、takepiさん。はじめましてですね。
そして、Nice&コメントありがとうございます。(^^)
本当に「フル・モンティ」は隙間なく、一般市民の悲喜こもごもを
描いた良い映画だと私も思います。
確かに、最近のイギリス映画は、底辺を生きる人々の良い映画が
少なくなった感じはしますね。
もっと色々作って欲しいな・・とは私も思うのですがねぇ。
by まなてぃ (2006-07-23 23:11)
>蟻銀さん、はじめまして、Niceありがとうございます。(^^)
蟻銀のブログにもお礼がてら、うかがわせてもらいました。
また、そちらのブログにも読みに伺います。
これからもよろしくです。
by まなてぃ (2006-07-24 00:55)
まなてぃさんはじめまして。nice!押したっきり、コメントが遅くなってすいません(ボケてますね~)。
「フルモンティー」は、ミュージカルも面白かったです。特にいい男じゃない彼らが、失うものはなにもない!的に脱ぐしかないと奮闘する辺り、可笑しくも哀しくもあり、役者陣もいい味だしてました。
又、お邪魔します♪
by クリス (2006-07-25 10:39)
フル・モンティ!もう10年前の作品になるんですか?早いなあ!
同僚と一緒に見に行って、その後ホテルのバーで飲んだのを思い出し
ました。映画のチケットとバーのチケットはセットで、同僚がとある男性
からいただいたものでした。うーん、悪いことしたけど二人で楽しかった
です。ハッピーエンドかというと?だし、その後は何が待ち受けてんだ
ろう、と思うと決して明るくもないし、でもクスッと言う笑いとほんわかした
気持ちになれる映画でした。コレも好きだなあ。
by のんたん (2006-07-26 02:17)
>蟻銀さん、こんばんは。(^^)
コメントありがとうございまーす!
そういえば、ミュージカルもありましたねぇ。
ということは・・生の舞台で、脱いじゃうんですか???
イヤーーーー!そんなこと!で、でもっ観てみたいっ!(◎◎)
これじゃあ、映画にでてくるオバちゃんたちとさして違いが
なくなってしまうかな・・(^^;;)
でもホントはみんな、そういうのを観たいもんですよねぇ。
違う?私だけか?・・・・(^^;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;)
by まなてぃ (2006-07-26 23:30)
>のんたんさん、こんばんは。(^^) コメントありがとうございまーす。
映画のチケットとバーのチケットがセットなんて、いいですねぇ。
私も映画のあと、バーで飲みたい!!
「フル・モンティ」は本当に良い映画でした。
完全にハッピーエンドとはいかない苦味とクスリと笑う甘み。
なんとうまい調合配分がされた物語。なかなか、こういう映画には
出会えないですよね。久しぶりに観たのですが、楽しかったぁ!
観たい映画がないときは、昔観た名画?を懐かしく紐解くのは
いいもんだなぁ。と、つくづく思いましたね。
ありがとう、レンタル屋さん!という感じですかね。(^^)v
by まなてぃ (2006-07-26 23:47)
>lionさん、Niceありがとうございます。
そちらのブログにもでかけたのですが、コメントを書くところが
なかったので、Niceだけポチッと押してきましたので
よろしくです。ハイ。(^^)
by まなてぃ (2006-08-05 17:26)