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ギルバート・グレイプ [映画感想 か行]

ギルバート・グレイプ

ギルバート・グレイプ

  • 出版社/メーカー: 角川エンタテインメント
  • 発売日: 2005/08/26
  • メディア: DVD

■2006.5.3(水) 本日の一言■

本日は映画「RENT」を観に行くか、でも混んでるな
・・それとも家でDVD鑑賞か・・・で迷い、
混んでいる映画館を恐れて結局、本日は自宅で既に
もっている「ギルバート・グレイプ」鑑賞することにした。

何度も観ているけれど、感想を書いておこう。
この映画は名作であることだし・・

以下ネタバレありです。ハイ。(^^;)

物語は、アイオワ州に暮らす青年の生活と人間劇。
ギルバート(ジョニー・デップ)は夫の自殺から
過食症になった母(この母親は鯨のように大きい 体重250Kg)
と生意気な妹、二人と知的障害を持つ弟アーニー(レオナルド・ディカプリオ)
の5人家族で生活している。
以前は兄がいたが、すでに兄は家を出ており、ギルバートは家計のやりくりと
過食症の母、弟の面倒をみることに生活の全てを気づかぬまに捧げてしまい、
自分のやりたいことや未来などは諦めて家の近所のスーパーで働いていた。
そこにキャンピングカーでアメリカ中を旅行している娘ベッキー(ジュリエット・ルイス)
が現れる。彼女の車が故障をし、しばらく町にとどまることになったのだ。
スーパーにたびたび顔をだすようになるベッキーはギルバートと顔見知りになり
弟アーニーとも打解け合っていく。その独特な感性と自由を見せるベッキーに
ギルバートは心魅かれていくのだが

・・といったあらすじで、以下は私めのこの映画の感想である。
250kgの過食症のお母さん、知的障害を持つ弟、家計のやりくりの挙句、
夢捨てた青年とくると、相当この世界は鬱屈してやりきれないものが
あるはずなのに、この映画には暗さというものは不思議なほど感じられないし
「人生とはなんぞや・・俺or私はこんなに苦しんでいるんだ」的な
若く贅沢な悩みごとの語りは一切ないといっていい。

ストーリーの大半はそれぞれの家族の言い分、領分、小さな騒ぎ? 家族への愛情、
顔なじみの友人とのやり取り、ギルバートと関係をもったスーパー常連客との
愛人騒動、ドタバタぶり(^^;;)が、たんたんと画面で語られてゆく。

ギルバートほど日々の生活に追われてはいないが、登場人物たちにも大小とはいえ、
抱える問題がある。死人が出ない故に不景気だと嘆く葬儀屋、
近所に大きなスーパーができて売上が伸び悩んでいると嘆く小さなスーパーの店主。
大手ハンバーガーショップに就職を決めて、生活を少しでも良くしたいという
ギルバートの友人。etc・・
この映画は生活していくための悩みの場面すら、苦い薬をオブラートにくるむように
してうまく観客に消化させ、表現してゆく。
そういったもの飲まされながら、私はギルバートが魅かれるベッキーの独特な感性と
自由さの元は、多少いじわるな言い方で申し訳ないが、ベッキーが根無し草で、
生活というものを支える責任がないゆえにでてくるのではないかと感じた。
この映画で唯一一人、ベッキーからは生活の匂いがしてこない。
少なくとも生活を支え追われる者は人に対して、ベッキーのように「何がしたいの?」
「どういう人になりたい?」などと聞く暇がなく、そういったことを人に対して聞いたり
語ったりできるのは、やはり時間と自由を堪能している者の特権のように思えてならない。

次に物語の感想から俳優の演技ぶりに移したいと思う。この映画に大根役者は一人もいない。
ジョニー・デップの抑えた演技力は今の彼を知っていると驚くばかりであるし、
レオナルド・ディカプリオの知的障害者の演技ぶりは舌をまくほど圧巻である。
ジョニーもディカプリオも、現在は押しも押されぬハリウッドスター。
もう共演はないのではなかろうか・・

まとめとして、この映画は一度は観て損はないと思う。
いずれにせよ、この物語の中で一番、苦労しているのは、どうみてもギルバートだし(^^;)
映画の終わりには「あんた!幸福になりなよ!」と老婆心がでてしまう、良い映画である。

■本日、心をよぎった音楽■
・曲名:群衆 
・Musician:中島みゆき

・流れたフレーズ・

はかない花たちよ わけもわからずに
流され 流され 織りなすモザイク
はかない時代だね
せめて君だけは 私をみつけて
叫び声紛れ 群衆

・どんなときに流れたの?・
新緑の桜並木を買い物がえりに歩いたとき、
1ヶ月前には満開の桜が咲いていたのに・・と
思ったとたん耳の奥で流れた曲


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コメント 4

incrocio

「知的障害者」に固有の「時間と自由」が、それ以外の者には経験できない固有の幸せをもたらしているというメッセージですかね。つまり、「知的障害者」ならではの特権的な幸せな時間と空間があるんだ、ということでしょうか。映画という媒体だからこそ、伝達できるメッセージですね。nice!&コメどうもありがとうございました。
by incrocio (2006-05-06 08:33) 

のんたん

私もこの映画大好きです。
そうですね、内容はそれぞれ大なり小なり鬱屈を抱える日々と人々
を描いているのに、確かに暗くないですよね。
この映画でのデカプリオの演技は、もう演技とは思えないほどで
彼の屈託のない笑顔、不安げな顔、すべてに涙が出てしまうほどです
あまり好きな俳優さんではないのですけど^^;
この映画ではきっかけは母の・・・だったけど、目を向けてみれば、自分
の世界も変えられる、何でもできるんだってそんな風に感じました。
by のんたん (2006-05-07 02:25) 

まなてぃ

incrocioさん Nice&コメントありがとうございます。
確か、こちらにきていただいのは2度目かな。
『「知的障害者」ならではの特権的な幸せな時間と空間があるんだ、ということでしょうか。』というincrocioさんのコメント、私が見逃していた
映画のパーツでした。映画の感想やコメントのやりとりは、こうした発見があるから楽しい。(^^)これからもよろしくです。
by まなてぃ (2006-05-07 18:50) 

まなてぃ

のりたんさん、初のコメントありがとうございます。
デカプリオ、私も彼のファンでは得にないのですが、
やはり迫力と凄みをもつ才能ある俳優だと思いますね。(^^;)
いろんなことを感じたり、楽しんだりできる映画は数少ないかも
しれないけれど、「目を向けてみれば、自分の世界も変えられる、
何でもできるんだってそんな風に感じました。」
とコメントをもらえると、「フフそうだよね」とこちらも笑みがこぼれました。
これからも良い映画に巡り合うチャンスをお互いもてるといいですね。
また、のりたんさんのブログにも寄らせてもらいます。よろしくです。
by まなてぃ (2006-05-07 18:59) 

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